「特に素晴らしい働き」監督が絶賛した2選手は? 浦和、開幕4戦未勝利→4連勝の理由

スコルジャ監督「攻撃から守備への切り替えも非常に良くなっている」
浦和レッズは4月25日のJ1第12節サンフレッチェ広島戦に1-0で勝利して4連勝を飾った。約2か月前に連敗を喫したタイプの相手に対して勝利を収め、マチェイ・スコルジャ監督が「攻撃から守備への切り替えも非常に良くなっている」と話すなど、改善が図られていた。
今季の浦和は開幕当初に苦しみ、4試合未勝利からスタートした。その間に連敗を喫したのが湘南ベルマーレ戦と柏レイソル戦だったが、スコルジャ監督が「湘南戦の前半が今シーズンのワーストと言える時間帯だったと思います。相手の高い強度のプレスに対応できず、諦めているような時間になってしまった」と表現したように、かなり厳しい試合があった。
その湘南と広島の共通点は選手の配置が近いことと、浦和がボールを持った時にマンツーマン気味に自陣の奥までハイプレスに来ること。この広島戦でも前半に、GK西川周作までボールを下げた後も厳しくプレスを受け、最終的にタッチラインへ逃げるようなプレーがあったように苦戦する場面がゼロになったわけではない。
しかし、MFサミュエル・グスタフソンを後方の軸に据えたビルドアップと、MFマテウス・サヴィオのマンツーマンを逆手に取ったようなポジションチェンジもあり当時より格段に安定して前進できるようになっていた。そして、最前線にFW松尾佑介が起用されるようになり、背後を狙う動きにより相手を押し下げて手前にスペースも生まれやすくなった。広島戦の前半では、これまでにないショートパスの中央突破からフィニッシュに迫るようなプレーも出てきた。
また、指揮官が「攻撃から守備への切り替えも非常に良くなっていると思います。特にウイングの金子とサヴィオが素晴らしい働きをしてくれています」と話したように、3バックの相手に対する守り方も整理が進んだ。
以前はサイドハーフの選手が飛び込んでしまって入れ替わるように侵入される場面も多かったが、金子が「今は前が連動してプレスがかかったら自分も行く、かけていないなら中間地点を取って牽制するという判断が僕だけじゃなくて前線の選手全員ができているかなと思います」と話したように、松尾やMF渡邊凌磨が先頭に位置するところから軽率な飛び込みは減りつつ、ベタッと下がるわけでもない良い位置で相手を受け止められるようになってきている。
この4連勝の中では、3試合でセットプレーからのゴールがあった。広島戦の決勝ゴールは相手のコーナーキックがファーサイドに流れたところを奪ったサヴィオが驚異的な高速ドリブルで運んだカウンターからという特殊なゴールだったが、全体的に見た時に勝利をしたことに驚きのない内容の試合を続けているのも事実だろう。
2023年にスコルジャ監督が率いたチームはJ1最少失点を記録し、当時34試合のリーグ戦で15試合を無失点で乗り切った。しかし、無得点の試合も12試合あった。その結果、8試合をスコアレスドローで終えて勝ち点を伸ばせなかった。今季も13試合で11失点と崩れない試合をする中、序盤戦は得点力に問題を抱えた。しかし、4月に入って6試合で10得点、無得点も1試合のみと勝利のために必要なゴールが生まれるようになってきた。
暫定3位まで浮上した浦和だが、内容の改善が結果に表れてきている。この先は勝率の低いアウェーゲームでの戦いが課題になりそうだが、クラブ・ワールドカップ(W杯)の影響で過密日程になる5月をどのくらいの成績で乗り切れるか注目される。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)