韓国指導者の本音「今や日本のほうが格段に上」 育成年代で交流…日本からつながる輪

ファンルーツの平野代表、スー監督、ソ監督、バサンタ氏(左から)【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
ファンルーツの平野代表、スー監督、ソ監督、バサンタ氏(左から)【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

「コパ・トレーロス2025」に韓国、台湾、ネパール、中国とアジアから参加

 静岡県御殿場市で3月27日から5日間、ジュニア年代の国際大会「コパ・トレーロス2025」が開催された。国内強豪のほか海外クラブも招待され、U-12とU-11の部それぞれ40チームが参加。スペインからアトレティコ・マドリードが参戦したほか、アジアでも韓国、台湾、ネパール、中国からチームが集まった。

 大会を主催するファンルーツの平野淳代表は、「海外から大会に出ていただいて、逆にこちらが行ったりと交流をしています」と語る。韓国の釜山機張SSG FCを率いて来日したソ・ソンギル監督、台湾の新竹コスモスユナイテッドのスー・アン・パン監督、元ネパール代表のバサンタ・ガウチャン氏に話を聞いた。

 浦項スティーラース、蔚山現代といったKリーグ名門の下部組織にも選手を輩出した実績があるというソ・ソンギル監督。「そのなかでも蔚山現代にいる高校3年生の子は、このコパ・トレーロスにも参加していました。そのなかでこういうふうに育って、プロに上がっていくかもしれない子です」と明かす。

「1番最初に出た年は、韓国の全国大会で優勝したくらい良いメンバーが揃っていたのに、ここでは全然結果が出せませんでした。すごく悔しかったし、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。日本のチームがうまいので、とても差があるのを感じました。毎年ここに来て、いろんなことを経験して帰っています」

 日本代表と韓国代表は両国のメディアなどでは、ライバル関係といった報道をされることもある。しかし、ソ・ソンギル監督は「日韓戦や代表戦ではライバルと言われることもありますが、やはり指導者のなかでは、今や日本のほうが格段に上に上がっているというのはみんな認めていますよ」と笑顔を見せる。

 一方、スー・アン・パン監督は「サッカーは台湾でも人気なんですけど、それよりも野球とかバスケの方が人気なんです」と危機感を語る。「全体的にすごく大きな問題を抱えていて、サッカーの競技としての人気が下がってきていて、それに加えて少子化で良い選手がそもそも少なくなっています」と言う。

 そんななか、日本のサッカーは「ヨーロッパで活動している選手がほとんどで、本当にアジアのチームなのかと。台湾のサッカーもこうしていきたいという目標になっています」と語る。若い世代で流行っているTikTokやインスタグラム、YouTubeなどのショート動画を活用し、地道な努力を続けているという。

 また、ネパール代表で背番号10を背負い、現役引退後は日本のファンルーツで指導者を務めているバサンタ・ガウチャン氏は、今大会では自身の名前の頭文字がついたBGアカデミーの来日に尽力。「日本や韓国、イランやサウジアラビアなどから学ぶことが多いです」とネパールのサッカー事情を教えてくれた。

 U-12、U-11それぞれ3日間ずつという短い日程で開催されたにもかかわらず、大会期間中には子供たちが国際交流する姿も印象に残った。言葉は伝わらなくても、ボール1つあれば通じ合えるのがサッカーというスポーツの醍醐味。年に1度、日本でアジア各国との育成年代の交流が行われる意義は大きいだろう。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)

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