日本人MFの“変態トラップ”が「相当すごい」 王者を撃破した“わずか12秒”にある秘密【見解】
【専門家の目|太田吉彰】後方からのパスを右足アウトサイドでピタリ「相当能力の高いプレー」
イングランド1部プレミアリーグのブライトンは現地時間11月9日、ホームで、リーグ4連覇中の王者マンチェスター・シティに2-1で逆転勝利した。日本代表のMF三笘薫は技術の詰まった驚愕のトラップから同点ゴールをお膳立て。走りながらロングパスをピタリと足元に止める衝撃的なテクニックに、元日本代表選手も「相当、技術がすごいです」と息を呑んだ。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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シティのエースFWアーリング・ブラウト・ハーランドのゴールで先制点を奪われたブライトンが反撃の狼煙をあげたのは後半33分だった。左サイドを駆け上がった三笘へ後方からロングパス。そのボールのスピードをさほど落とさないまま、右足のアウトサイドに当てて足元へピタリと落とした。さらに、右足アウトサイドで中央へクロスを上げると、自らもボックス内に。相手DFがクリアしたボールを今度はワンタッチでFWダニー・ウェルベックへ。最後はゴール前の混戦からFWジョアン・ペドロが押し込んだ。
この同点ゴールを生み出した三笘のプレーを元日本代表MF太田吉彰氏は「相当、技術がすごいですね。冷静にピタッと止めて、そのまま2タッチ、3タッチくらいで中にやっていますから、相当能力の高いプレーだと思います。ああいう場面って、結構(しっかりと足に)当てちゃうんですけどね」と“変態的な”トラップに驚愕。さらにボールを受けるまでの流れを絶賛した。
「ディフェンスとの駆け引きにまず勝って、スペースを作れたことが大きい。こうやってロングパスが後ろから来る場合、あまり中の状況で見られないんですけど、中の状況を見ているからこそ、ファーストタッチでしっかりと止めて、瞬時に中の選手にパスを出せた。常にもらう前に中の状況とか周りの状況をしっかりと把握しているって、やはりすごく能力が高いなと感じます。あと、クロスを上げた後に止まっていないですよね。これってすごく大事で、クロスを上げたら結構止まっちゃう人が多い。上げて瞬時にはもう次に反応してますし、そのセカンドボールに対してもワンタッチで中に落とせたことがすごく大きい。これも中が見えていないと間違いなくできない」
パスが出てから、ゴールが生まれるまでの時間は、わずか12秒ほど。そのわずかな間に三笘の技術と能力の高さが詰まっていた。
太田吉彰
おおた・よしあき/1983年6月11日生まれ、静岡県出身。ジュビロ磐田ユース―磐田―仙台―磐田。J1通算310試合36得点、J2通算39試合4得点。トップ下やFW、サイドハーフなど攻撃的なポジションをマルチにこなす鉄人として活躍した。2007年にはイビチャ・オシム監督が指揮する日本代表にも選出。2019年限りで現役を引退し、現在はサッカー指導者として子どもたちに自身の経験を伝える活動をしている。