U-23日本代表組不在は「チャンス」 FC東京MF遠藤渓太の闘争心をかき立てた相手パフォ

後半16分から途中出場して同点弾を含む2ゴールを決めた遠藤渓太【写真:Getty Images】
後半16分から途中出場して同点弾を含む2ゴールを決めた遠藤渓太【写真:Getty Images】

後半16分から途中出場して同点弾を含む2ゴール

 スーパーゴールを決めた相手選手が、自分たちのゴール裏のサポーターに向かってパフォーマンスをする。その姿がFC東京のMF遠藤渓太に火を点けた。

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 4月13日のJ1リーグ第8節東京ヴェルディ戦後にミックスゾーンへやってきた遠藤は、「こんなに(記者に)囲まれるのは初めてだな」と戸惑いつつも、「あのままサポーターを返すわけにいかなかったので。ベンチでサポーターの方々の熱量も感じていましたし、個人的に結果を残せていなかったなか、ダービーで結果を残せれば認められるかなと思ったので、そういう意味では決められて良かったなと思います」と、試合を振り返った。

 16年ぶりのJ1での東京ダービー。長らくJ1で唯一の東京のチームだったFC東京としては、貫録を見せたいところだったが、前半23分にMF見木友哉にPKで先制ゴールを許すと、その5分後にはFW染野唯月に美しいボレーシュートを決められた。

 このゴールが決まったのは、アウェーのFC東京サポーターの陣取るスタンドの目の前だった。染野は、両手を広げてFC東京のサポーターに向かってゴールセレブレーションを行う。この様子をベンチで見ていた遠藤は、自身の中にある闘争心が燃えるのを感じたという。

「染野選手に2点目を決められて、FC東京のゴール裏が煽られてというか、何かパフォーマンスをされているのを受けて、正直あそこで自分的にスイッチが入りました。自分が入ったら、プレーで見せてやろうとスイッチが入りました」

 遠藤がピッチに投入されたのは、後半16分だった。前半に2点を失い、さらにFW安斎颯馬の退場で1人少なくなった状況で、3失点目を許さなかったFC東京は、遠藤とMF寺山翼の投入を合図に反撃に出ていく。

 そして後半23分、DF白井康介が相手のパスをカットしてボールを持ち上がり、クロスを入れる。寺山がスルーした背後で、遠藤がボールを受けてシュートをゴールに突き刺した。「康介くんがインターセプトした時点で、前にいたのが僕と翼だったので、交代して入った選手が流れを変えてやろうと出る前から話していました。そこは相手にスプリントで勝つことを意識してゴール前に入っていきました」と、1点目を振り返る。

 後半アディショナルタイム4分には、GK波多野豪からのロングフィードが競り合いになり、こぼれたボールをFW仲川輝人がつなぎ、受けたボールを左足でゴールに沈めた。遠藤は「ボールを受けた時点で、自分でシュートに持ち込むことは決めていました。そのなかでいいところにボールが飛んでくれたなという感じです」と言い、追いつけた要因については、「やっぱりサポーターの方々の応援を個人的には感じたし、僕はFC東京のアカデミー出身の選手ではないですけど、ダービーに対する熱量や思い入れは感じていたので、そこの責務、責任は果たせたかなと思います」と、勝ち点1だけではなく、J1に長らくいたクラブのプライドを保つ2ゴールに胸を張った。

 ドイツのFCウニオン・ベルリンからの期限付き移籍が、完全移籍に変更された翌日のダービーでの大活躍となったが、遠藤は「チャンスだなって本当に思っていました。太郎(荒木遼太郎)だったり、(松木)玖生が活躍しているなかで、彼らがU-23日本代表に行って『やっぱりアイツら頼りだったんだ』って思われたくなかったし、まだまだほかの選手に比べたら結果はついてきていないけど、ダービーが1ついいきっかけになればいいなと思います。この一発で終わるのではなく、これを継続できるように日々トレーニングしたい」と、さらなる活躍を誓った。

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