遠藤航は「大谷翔平並みの選手」 名門リバプールでレギュラー定着に至った凄さとは?【前園真聖コラム】

リバプールの遠藤航【写真:ロイター】
リバプールの遠藤航【写真:ロイター】

マンU戦で「立場が悪くなった」という意見に見解

 イングランド1部プレミアリーグ第32節(現地時間4月7日)のマンチェスター・ユナイテッドVSリバプールは激闘の末に2-2の引き分けに終わった。この試合では日本代表MF遠藤航が先発に復帰し、後半24分までプレー。いつもながらの献身性を発揮していたが、途中交代となった。果たして、遠藤は加入初年度でプレミアリーグ優勝の栄冠を手に入れることができるのか。元日本代表MF前園真聖氏の見解は——。(取材・構成=森雅史)

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 オールド・トラフォードで開催されたマンチェスター・ユナイテッドVSリバプールは、一進一退の攻防が続く熱戦でした。リバプールが前半に先制してその後も攻め続けたものの、後半5分にミスから同点にされ、その後一度は逆転されてしまいました。

 それでも後半39分、モハメド・サラーがPKを決めて同点に追い付きました。遠藤航は後半24分に交代したのですが、その代わりに入ったハーベイ・エリオットがドリブルでペナルティーボックスに侵入しPKを獲得しています。

 マンチェスター・ユナイテッドの2人のMF、ブルーノ・フェルナンデスとコビー・メイヌーにゴールを決められてしまったこと、さらに交代で出場した選手がゴールに絡んだことで、遠藤の立場が悪くなったのではないかという意見があるようです。

 その点について、僕はきっぱり「ノー」と言いたいと思います。

 この試合でも遠藤のボールを奪う能力や試合展開を予測する力、味方へのカバーというのは秀でていました。ドイツ1部シュツットガルトにいた時はさらに攻撃にまで加わっていましたが、リバプールだとその部分はほかの選手に任せてもいいのでやっていないだけです。ボールを奪取してシンプルに味方に預けるプレーがメインになっていますが、攻撃できないということではありません。

遠藤の「評価が落ちることはない」

 遠藤が交代した時間は、すでに逆転されていました。ですから、ユルゲン・クロップ監督がより攻撃的な選手を入れたいと思っても当然でしょう。また、前節シェフィールド・ユナイテッド戦を負傷で欠場していたため、早めに代えたというのも理由として考えられます。

 いずれにせよ、遠藤のプレーを見ていて評価が落ちることはないと思います。そもそも、この2023-24シーズンでも遠藤の素晴らしさは際立っています。

 シーズンが始まってからリバプールに入り、次第にレギュラーポジションを獲得しました。世界最高峰のリーグの1つで、しかも優勝候補の名門で、南野拓実(ASモナコ)でもカップ戦要員のように使われていたチームで、しっかり先発に名を連ねることだけでもどれだけ凄いことか、というのはみんなに知ってほしいところです。

 正直に言えば、遠藤は素晴らしいスピードを持っている選手というわけではありません。ですが、それを判断力でカバーしているのです。また、毎試合100%以上の力でプレーしなければ出番を失うチームで、ずっと成長を続けているから出場機会を伸ばしています。

 遠藤は、野球に例えれば、大谷翔平選手並みのプレーヤーです。今後も活躍を見せてくれることは間違いないでしょう。

(前園真聖 / Maezono Masakiyo)



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前園真聖

まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。

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