日本のGK問題、乗り越えるべき壁…鈴木彩艶を支える仲間の存在は【現地発】

2試合連続出場中の鈴木彩艶【写真:Getty Images】
2試合連続出場中の鈴木彩艶【写真:Getty Images】

前川が鈴木を思って批判に反論「必要以上に言われ過ぎ」

 日本代表は1月21日、アジアカップ・グループリーグ第3戦インドネシア戦に向けての練習で冒頭15分を公開した。1勝1敗で臨む一戦。すでに首位通過は消滅し、引き分け以上で2位突破が決まる。第1戦ベトナム戦(4-2)、第2戦イラク戦(1-2)では本来の姿を取り戻していない森保ジャパンだが、第3戦はどのような戦いを見せるのか。そのなかで、GK鈴木彩艶には大きな飛躍を期待する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 イラク戦から一夜明けた20日、GK前川黛也が口を開いた。同じGK仲間の鈴木への批判に対しての“反論”だった。

「なんて言うんですかね……。誰が言っているか分からないですけど、彩艶に対してのそういった(批判の)声というのは……。やっぱり全然ミスでもないですし、その前のところでの失い方とか、そこまで進入されたというところが問題でもあって。キーパーはキーパーで修正していかないといけないというのは失点するにあたって絶対しないといけないんですけど、必要以上にそこは言われすぎていると僕は思っている。

 そうやって外野が言うのは簡単ですし。でも本当に僕自身も代表だったりとかそういう海外経験もない中で、アウェーの声援、プレッシャーの中でプレーするというところで、彩艶はすごくビルドアップであったりとか、リスクケアもすごく安定したし、やっぱり彩艶が救っているところっていうのもたくさんあって、それなのにあの1個で批判されるというのはプロである以上、仕方ないことだとは言え、ちょっとそこに集中しすぎなんじゃないかなと僕は思います」

 イラク戦では前半5分、日本は右サイドを崩されると、中央へのクロスをGK鈴木彩艶がパンチングで弾く。この流れたボールをFWアイメン・フセインにヘディングで押し込まれて失点した。だが、この前に右サイドの軽すぎた守備が問題であり、最終ラインを含めて反省すべき点だ。だが、分かりやすい鈴木へ批判が集中。鈴木自身も試合後に反省していた。そのなかで、前川の言葉には魂が込められていた。

 実際、練習ではGK陣の中で一番年上29歳の前川が好プレーを連発。調子を上げているなかで、仲間を思う言葉だった。日の丸を背負った父・和也さんの背中を見て育った前川は「守護神」の重みを誰よりも理解している。だからこそ、公式戦でゴールマウスに立つ21歳の若き守護神が奮闘する様子が手に取るようにわかるのだろう。

 鈴木自身、試合後「自分としては実力不足」とかなり反省していた。でも、ここで切り替えてこそA代表として大きな成長を期待できる。恐らく、イラク戦に勝利していれば大きなターンオーバーが見込まれ、前川がピッチに立つ確率が上がっただろう。だが、現況では第3戦で鈴木にいいイメージを持たせるため、先発させる可能性が大いにある。前川としては出場しないままアジア杯を終えるかもしれない。そのなかで、今GKチームは1つになって乗り越えようとしている。

 まだ次がある。ここから立ち上がればいい。アジア杯は終わっていないのだから。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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