広島がWEリーグ杯初優勝の意義 「3強」に風穴…日本女子サッカー新時代の幕開け予感

広島レジーナが初優勝を飾った【写真提供:WE リーグ】
広島レジーナが初優勝を飾った【写真提供:WE リーグ】

WEリーグカップ決勝で新潟を下した広島が初優勝、選手や監督も手応え

 3シーズン目を迎える日本女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」開幕に先立ってのカップ戦、WEリーグカップ2023-24の決勝が10月14日に行われ、PK戦の末にサンフレッチェ広島レジーナが初優勝を飾った。リーグ創設からのタイトルホルダーに、“3強”以外の名が記されたのは初めてになった。

 今季からセレッソ大阪ヤンマーレディースが加わり12チームで争われる大会は、6チームずつでグループステージを実施。広島は昨季2冠の三菱重工浦和レッズレディースの入ったA組を4勝1分の無敗で突破し、アルビレックス新潟レディースは日テレ・東京ヴェルディベレーザとINAC神戸レオネッサが入り、大混戦のB組を突破してきた。

 浦和、ベレーザ、INACはアマチュア最高峰として実施されていた時期のなでしこリーグから続く3強で、WEリーグ創設後も皇后杯を含めたすべてのタイトルをこの3チームが分け合っていた。

 そこに風穴を開ける決勝カードになった。試合は0-0からのPK戦を広島が制す形になったが、敗れた新潟の橋川和晃監督は試合後会見で「負けて言うのもなんですが」としつつも、「両チームの選手たちがベストを尽くし、互いに良さを出し、良さを潰し合う素晴らしい好ゲームだったのではないか」と振り返った。そして、「代表活動などがあったにせよ、トップ3の牙城を崩さないといけない。リーグ戦での勝ち点差も大きかった。トップ3には代表活動の難しさもあったと思うが、それでも我々と広島が上がってきたのは良かった」と、その意義を話した。

 一方で、優勝した広島の中村伸監督は「3強と言われるクラブと肩を並べたというレベルにはないと思っている。どのチームもそれぞれ良さがあり、それぞれのクラブとゲームをすることで自分たちが成長するためのものを示していただいた。それと向き合ってやってこられたことが結果につながり嬉しい。ただ、スタンスは変わらず、まだまだ成長しなければならない選手とクラブ。1つ1つと向き合って積み重ねていくスタンスは変わらずにやりたい」と話す。

 広島の主将で2011年の女子ワールドカップ(W杯)優勝メンバーのDF近賀ゆかりも「個々のクオリティーでは、まだ追い付いていないのが実際のところ。ただ、そこの部分を上げつつ、チームで勝っていくのも女子サッカーのいいところなので、そういう強さを見せたい。リーグ戦では、また違うと思う」と、現実を見据えた。

 2021年秋に開幕したWEリーグに合わせて設立された広島は、まさにゼロから立ち上げて積み上げてきたチーム。そうした意味でも、広島と新潟の決勝カードになったことも、広島がタイトルを獲得したことも、新時代の幕開けを予感させるものになった。

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