“下剋上”を呼び込んだ岡山の元日本代表候補FW 劇的弾に見えた点取り屋の嗅覚と苦悩

松本とのJ1プレーオフ準決勝で、赤嶺が後半ATに起死回生の決勝弾

 雨中の激闘に終止符を打ったのは、かつて日本代表候補にも名を連ねたファジアーノ岡山FW赤嶺真吾の意地と点取り屋としての嗅覚だった。

 今季J2で6位となりギリギリでJ1昇格プレーオフに進出した岡山は、この準決勝で勝ち点が19も上回る3位松本山雅FCと対戦。直接対決では5試合連続無敗(3勝2分)と相性の良い相手とはいえ、敵地での一戦だけに苦戦が予想された。実際にゲーム序盤から押し込まれるシーンが多かったが、その重苦しい空気を振り払ったのは赤嶺の起点になるプレーだった。

 前半23分、自陣左サイドから大きく蹴り出されたクリアボールにセンターサークル付近で反応。赤嶺が相手DFと競り合いながら後方にフリックすると、「真吾さんが競り勝つのを信じて走った」というFW押谷祐樹がボールを足下に収め、鮮やかなカウンターから先制弾が生まれた。

 そして後半29分に松本に1-1の同点とされ、大会規定によりリーグ順位が下位の岡山が敗退となる絶体絶命の状況を、今度は赤嶺がフィニッシャーとして救う。DF岩政大樹も最前線に押し上げパワープレーを仕掛けていた後半アディショナルタイム、後方からの浮き球のボールに途中出場のFW豊川 雄太がヘディングで競り勝つと、ボールはゴール前にフリーで走り込んだ赤嶺の前へ。「トヨがいい落としをくれた」と振り返ったストライカーは、距離を詰めてきた相手GKシュミット・ダニエルの動きを冷静に見極め、左足ダイレクトで合わせてゴールに流し込んだ。

「1-1に追いつかれてもゲームプラン。最後になにができるかが勝負だった」という岡山の長澤徹監督は、殊勲の決勝弾を決めたストライカーをこう讃えた。

 

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