“J1最速アタッカー”が感嘆した三笘薫の加速の凄み 「対峙するDFは難しい」理由は?

日本代表の三笘薫【写真:徳原隆元】
日本代表の三笘薫【写真:徳原隆元】

【インタビュー】FC東京のアダイウトンが三笘薫や伊東純也のスピードを分析

 FC東京のブラジル人MFアダイウトンは、今季のJ1リーグでトップスピードの最速値(35.5km)を記録している。「FOOTBALL ZONE」では、日本サッカーにおいてキーワードになる「スピード」に注目した特集を展開。今季“J1最速の男”が、現代の日本サッカー界を代表するスピードスターの日本代表MF三笘薫(ブライトン)と日本代表MF伊東純也(スタッド・ランス)について印象を語った。(取材・文=河合 拓/全2回の2回目)

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 森保一監督の率いる日本代表は、6月に行われたキリンチャレンジカップのエクアドル代表戦(6-0)、ペルー代表戦(4-1)に連勝した。多くの選手が活躍を見せたなかで、MF三笘薫(ブライトン)もペルー戦で1ゴール1アシストと輝きを放った。

 今シーズンのJ1リーグで最速となるトップスピード35.5kmを記録しているFC東京のブラジル人MFアダイウトンは、クラブ公式サイトで「過去対戦して最も衝撃を受けた選手」に三笘の名前を挙げている。今や三笘のスピードは日本代表でも欠かせない武器となっているが、“J1最速の男”は三笘のどこに衝撃を受けたのか。

「スピードがあるのはもちろんですが、スペースがないような場所でも、加速できてしまうところが三笘選手の凄いと感じさせられるところです。そして止まった状態からの加速も素晴らしいものがあります。そして、切り返しの角度。その角度に、『そのスピードでそこにボールを運べるか』と驚かされます」

 そして、爆発的なトップスピードから急停止を見せて相手を翻弄したMF伊東純也(スタッド・ランス)の活躍にも触れつつ、「彼らもそうだと思うのですが、私たちのようにスピードを武器にする選手は、スピードがゼロの状態からどれだけ初速で加速できるか。またはトップスピードから、いかに急に止まれるか。その緩急が非常に大切だと思っています。彼らはそこが非常に上手く使えているので、対峙するDFはとても難しいのではないでしょうか」と、分析した。

 また、現在の日本代表の中には、アダイウトンにとって「父のような存在」と言わしめる人物がいる。第2次森保ジャパンでコーチを務めている名波浩氏だ。9年という長い年月を日本で過ごすことになったアダイウトンだが、当時ジュビロ磐田の監督だった名波氏が獲得に動いていなければ、そのキャリアは全く違うものとなっていたであろう。

「いろんなところでアドバイスをしてくれて、練習の時はもちろん、試合の時でもコミュニケーションを重ねてくれました。良くなかった時に『こういうふうにすればいい』という適切なアドバイスをくれて、自分を育てるためにいろんなことを考えてくれました。今の自分がここにいられるのは本当に名波さんのおかげなので、本当に感謝しています」

 具体的な指示で印象的だったのは、「ポジションの取り方」だという。「スピードがあることを名波さんは理解してくれていました。そのスピードを生かすために、どこに立てばいいのか。また、ロングディスタンス(長い距離)でのスピードの生かし方の部分に課題があったので、そこも指導してもらいました」と、振り返った。

 日本代表合宿でも、熱心に指導をする姿が見られる名波コーチだが、三笘や伊東にも新たなヒントを与えてくれる存在になることが期待される。

[プロフィール]
アダイウトン/1990年12月6日生まれ、ブラジル出身。フォルタレーザEC―ECヴィトーリア―イトゥアーノFC―ジョインヴィレEC―イトゥアーノFC―AAポンチ・プレッタ―パラナ・クルーベ(いずれもブラジル)―磐田―FC東京。J1通算221試合52得点、J2通算39試合17得点。スピードに定評があり、スペースを使った攻撃やドリブルでの突破も得意とするJリーグ9年目のアタッカー。空中戦も強く、攻撃の起点になれる。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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