VAR介入もハンドなし 神戸DFの至近距離でのシュートブロックに元主審が見解「身体に近いところに…」

神戸でプレーする本多勇喜【写真:徳原隆元】
神戸でプレーする本多勇喜【写真:徳原隆元】

神戸DF本多の右手に至近距離のシュートが当たる

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、7月1日のJ1リーグ第19節、ヴィッセル神戸と北海道コンサドーレ札幌の試合が取り上げられた。ここではペナルティーエリア内でのハンドを採用すべきかどうかについて議論された。

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 この場面は後半7分、札幌がペナルティーエリア内でFW浅野雄也がシュートを放ったが、神戸DF本多勇喜の右足に当たった後右手に当たった形でブロック。日本サッカー協会(JFA)による審判交流プログラムでカタールから来日中のカミス・モハメド・アルマッリ主審はハンドを取らなかったが、飯田淳平VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が映像確認を進言した。アルマッリ主審はオンフィールドレビューを行ったうえで、ハンドの反則はないと判定していた。試合後には札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が「ジャッジリプレイで取り上げられるだろう」とコメントしていた。

 川崎フロンターレなどでプレーした田中裕介氏は「本多選手の手が不自然に上がっているのかが焦点になると思うけれども、DFとしては必死にブロックにいった結果なので取って欲しくはないけれども、これは取られても仕方ないかなというのが意見」と話した。

 また、ベガルタ仙台などでプレーした鎌田次郎氏は「これは、予期せぬものという意味で自分の足でも関係あるんですか?」と、元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏に質問。家本氏は「関係ある」として、「プレーと見るがディフレクションと見るか」と判断の基準を説明。鎌田氏はそれを受けて「このシュートスピードならしょうがないという判断ですよね。自分が審判でも取らないかもしれない」と話した。

 家本氏はルールについて「プレーというのは、自分から体を動かしていってボールを何とかしようとする。ディフレクションかどうかというのは、シュートが来るからただ単に足などを出して止めようとするもの。これはプレーと言わない」とコメント。このプレーについて「ただ単にブロック。ボールをコントロールしにいっていないのでプレーとは見られない」と話した。

 その上で、ディフレクションと判断されたうえでハンドの反則を採用するかどうかについて、腕の位置が不自然かどうかがポイントになるという考え方の順番を示し、「高く腕が上がった時点でボールに当たっていればハンドだったが、それが下がってきてだいぶ身体に近いところに当たっている。今までこの番組で取り上げた身体に当たってブロックしたボールが手に当たって、どちらかと言えばハンドと言えるといってきたものとはちょっと毛色が違う。自然な位置に腕が戻っている過程で当たっていて、上がったままではないということ」と話した。

 田中氏は「本多選手の重心が右側にいっていたらもっとハンドではないと言えるかなと思うが、逆側にいっていて手が伸びているので、それを見た時にハンドに見えやすいのではないかというのが難しい判定になっている要因ではないかと思う」と指摘していた。鎌田氏は「シュートコースに足と手しかない印象がある。身体もそこにあればハンドではないけど、(意見が)割れるのは手と足しかなくて、足に当たった後もゴールの方に飛んでいるので印象がということではないかと思う。印象は良くないけど、このブロック、この距離でディフレクションは仕方ないのではとDFとしては思ってしまう」とコメントしていた。

 家本氏は「現場のレフェリーはとてもいいポジションで見ているので、ボールが手に当たったことは理解していると思います。ただ、面白いのはVARに入っているのは飯田さん、国際レフェリーなので日本の傾向や方向感、FIFA(国際サッカー連盟)やAFC(アジアサッカー連盟)の判断やVAR介入条件も知っている。レフェリーもノーと恐らく言っている可能性があって、それでも入ってくるということは、飯田さんとしてはかなり高い確率でこれはダメでしょうという思いがあった。ただ、最終的に決断するのはゴール裏からのアングル。このアングルから見ると体側についていて戻っている最中なので不自然に大きくしていると見なさないと解釈しやすい。メイン側のアングルだと、今までの日本の方向感はどちらかというとハンドでしょうと見える」と、映像のアングルから印象が全く違うことを指摘していた。

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