横浜FCのドイツ人守護神がヘッドギアを外した訳 今季初勝利を呼び込んだ覚悟「何かをしないといけないと思った」

好セーブで今季初勝利に貢献したGKスベンド・ブローダーセン(写真中央)【写真:徳原隆元】
好セーブで今季初勝利に貢献したGKスベンド・ブローダーセン(写真中央)【写真:徳原隆元】

新潟に1-0の完封勝利で今季初白星

 開幕戦から10試合未勝利だった横浜FCの四方田修平監督は、5月3日のJ1リーグ第11節アルビレックス新潟戦で、今季初めて3バックに布陣を採用。1-0で今季初勝利を手にしたなか、「正直、マッチアップだけを考えると4バックのほうが理に適っているのですが、ここまで10試合勝てなかったところで、何か変化を与えて守るんだ、失点をしないんだという意思、少しでもうしろの選手に自信と思い切りを与えたかった」と、その理由を説明した。

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 対戦相手の新潟は、第10節のFC東京戦(1-2)からGK阿部航斗を除く10人を変更していた。だが、横浜FCにとって大事なのは相手どうこうではなく、自分たちがいかに力を出し切るのかであり、そのために自分たちに刺激を与えたかったのだろう。

 ゴールマウスを預かったGKスベンド・ブローダーセンも、指揮官と同じような思いを持ち、チームに刺激を与えることを考えていた。

 90分を通じてピンチらしいピンチがなかった横浜FCだが、後半アディショナルタイム4分、新潟に決定機を作られる。空中戦の競り合いからゴール前にこぼれたボールに新潟MF三戸舜介が反応し、左足でシュートを放った。このシュートに反応したブローダーセンが左手でボールを枠外へ弾く。

「普段からGKは多くの枠内シュートを受けている。相手の動きを見て、どこに蹴ってくるかイメージできる。シュートを打った選手(三戸)にとっては、多くの観衆も入っていたしプレッシャーもかかる場面だった。僕を見て、僕が何をするか把握する時間がなかった。でも、僕は彼を見ることができていた。そして左に打ってくる感覚があった。さらにハーフボレーのような形で打つことになって、ボールが自分のセーブしやすいところに来てくれたのも幸運だった」

ヘッドギアを外してチームを鼓舞「僕が100%だと思ってくれると思ったんだ」

 試合後のフラッシュインタビューで、涙を流しながら初勝利を喜んだブローダーセンは、昨年のJ2第38節V・ファーレン長崎戦で相手選手と激しく接触し、脳震盪を起こして救急車で緊急搬送された。それ以降、ヘッドギアを付けてプレーをしていた。

 しかし、この日はヘッドギアを外してピッチに立っていたのだ。ミックスゾーンで、その理由を問われたドイツ人GKは、「ヘッドギアを付けることも考えた。でも、何かをしないといけない、戦う姿勢を示さないといけないと思っていた。練習から良い感触があったし、もちろん練習ではヘッドギアを着用し続けるけど、今日はチームに僕のことを信頼できるんだということを見せたかった。外すことで、僕が100%だと思ってくれると思ったんだ」と、チームを鼓舞する意図があったと明かした。

 医学的には褒められたことではないかもしれない。それでも、11戦目にして初めての完封勝利につながった要因の1つかもしれない。

 ビッグセーブで今季初の勝ち点3を呼びこんだ守護神は、「これだけ連戦が続く時期は、練習を重ねて何かを変えるよりも、気持ち1つで変わることが大きい。この後、すぐに神戸戦があるが、良い雰囲気ができたと思うので、この勢いのままいきたい」と、首位との一戦を見据えた。

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