湘南×名古屋、ゴール後に相手のPK認定に日本代表OBと元主審が見解 「なぜVARが早くゲームをストップできなかったか」

湘南のオフサイド判定と名古屋ゴール後のPK認定を検証(写真はイメージです)【写真:高橋 学】
湘南のオフサイド判定と名古屋ゴール後のPK認定を検証(写真はイメージです)【写真:高橋 学】

「Jリーグジャッジリプレイ」で湘南のオフサイド判定と名古屋ゴール後のPK認定を検証

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、4月23日に行われたJ1リーグ第9節、湘南ベルマーレと名古屋グランパスの試合が取り上げられた。このゲームからは湘南のオフサイドの判定と、名古屋のゴールが決まったかに思われた前に湘南にPKが与えられるべき場面が見つかり、判定が変更になったものが取り上げられている。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 最初の場面は前半29分、湘南が右サイドから攻撃してMF石原広教がペナルティーエリア内へグラウンダーのパス。FWタリクがスルーし、背後にいた名古屋MF米本拓司の右足からボールはゴール方向へ。そのボールに反応した湘南のMF阿部浩之がゴールに蹴り込んだが、石原がボールを蹴った瞬間にオフサイドポジションにいた阿部はオフサイドと判定された。米本のところでボールの動きが変わったものが、意図的なプレーであるのか、ディフレクション(反射)に当たるのかが論点になった。

 ゲスト出演した元日本代表DF伊野波雅彦氏は、米本のリアクションに着目。「やってしまったという感じがある。ちょっと諦めてもいる。プレーというより、終わったあとのリアクションで分かるのではないか」と、意図的なプレーをした結果だと話した。同じ元日本代表MF増田誓志氏も「うしろにタッチする選手はいないと思う。判断はギリギリまで難しかったと思うけど、これをディフレクションと見るのはどうか」と、ゴールが認められて良かったのではないかという意見を話した。ただし、タリクのスルーが影響を与えている要素があることも認めた。

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、「印象としてはディフレクションではないと感じる人が多いと思う。ただ、FIFA(国際サッカー連盟)やJFA(日本サッカー協会)の考え方でいくと、こういう変化、タリク選手のところが変化になるけれども、何もせずに立っていたのではなく動くことによってリスクが発生し、選択肢が増えた。それにより(米本が)『あっ』と反応している。これはディフレクションに入るとFIFAもJFAも考えている」と解説。ルール改正からの典型的なディフレクションにあたる場面だとして、オフサイドの判定は現行のルールに沿ったものだと話した。

元主審の家本氏はPK判定を支持したうえで、VAR介入のタイミングにも言及

 また、このゲームでは後半30分、ペナルティーエリア内に湘南のMF山田直輝が切り込んだところで名古屋DF中谷進之介との接触で倒れた。岡部拓人レフェリーはノーファウルと判断したが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入してオンフィールドレビューを行い、湘南のPKになった。その映像を確認したタイミングが、山田の店頭から約40秒後に名古屋のFWマテウス・カストロのシュートがゴールに吸い込まれたところだったために、話題を呼んだ。

 山田が倒れた接触について伊野波氏は「DF目線では少し厳しいと思うが、映像を見るとボールが通っていく進路に足が出ているので(PKを)取られても仕方ない」とコメント。増田氏も「間違いなくPKです。足を出して、そこに当たっているので、これをPKじゃないと言われると何がPKなのか」と話した。また、山田が左足を引くようにしていることや手を挙げていることについて、増田氏は「逆に、気を使っていると思う」と相手との接触による両者の衝撃を和らげることへの配慮と受け取り、伊野波氏も「山田選手があの体勢から避けろと言われても、あのスピードでは無理なので、気を遣っていなかったら怪我になっていたのではないか」と同意していた。

 家本氏はPKの判定を支持したうえで、「シミュレーションやダイブだと受け取る人もいると思う」ともコメント。「ポイントは山田選手の左足の運び方と手の動き方をどう解釈するか。怪我を避けようという動きと解釈すればそう見えるし、当たりに行っているという目で見れば、そう見えてしまうという印象の話がある。結果的には、(中谷が)進行方向に左足を出してしまい、その足と山田選手の距離が近かった。足の根元の深い位置に入っているので避けようがない。この接触を誰が引き起こしたかというと、映像を見る限り中谷選手と言わざるを得ない。それらからすると、左足や手は避けようという動きと解釈する」と話した。

 一方で、家本氏は「だからこそ、なぜ(VARが)早くゲームをストップできなかったか」と、清水勇人VARの介入が遅れたことが、名古屋のゴールを取り消して湘南にPKを与える落差の大きな状況を生んでしまったことを残念がっていた。

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング