韓国審判団は「全体的に安定していた」 日本×ウルグアイ、元国際主審・家本氏が語るジャッジ総評

家本政明氏がレフェリングを総評【写真:Getty Images】
家本政明氏がレフェリングを総評【写真:Getty Images】

【専門家の目|家本政明】ウルグアイ戦を捌いた韓国審判団を総括、重要判定で変化する選手模様にも注目

 森保一監督率いる日本代表は3月24日、キリンチャレンジカップ2023でウルグアイ代表と対戦し1-1で引き分けた。試合のジャッジを担当した韓国審判団のレフェリングに対し、元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏が総評を展開している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)

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 日本はホームにウルグアイを迎えたなか前半38分、スペイン1部レアル・マドリードに所属するMFフェデリコ・バルベルデにゴールを決められ先制を許してしまう。

 後半20分には、交代で入ったMF伊東純也(スタッド・ランス)がペナルティーエリア内で倒されて一度はペナルティーキック(PK)を獲得。同点のチャンスかと思われたがここでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入し、オンフィールドレビュー(主審が直接映像を確認すること)実施のうえPKは取り消しとなった。

 それでも同30分、伊東が入れたグラウンダーのラストパスにFW西村拓真(横浜F・マリノス)が合わせて追い付き、日本は1-1のドローで森保一監督“第2次政権”の初陣を終えている。

 試合を通して、この試合を担当したコ・ヒョンジン主審らを家本氏は「全体的には安定していた。マネジメントなど、いつもどおりの彼だった」と所感を話した。

「前半の瀬古選手に関する判定で目立つシーンもあった。良くはなかったけれど、選手たちが激しくプレーしていてもプレーを止めないなど、基本的に違和感なくやっていたと思う」

 前半26分に日本がボールロストからDF瀬古歩夢(グラスホッパー)がタックルで相手を阻止したシーンがあり、コ・ヒョンジン主審はノーファウルでプレーを続行。このプレーがファウルだったのではないかと話題を呼んでいたが、家本氏は「警告ですね。結果的に相手の足を引っかけてしまっている。この場面は(ウルグアイの選手に対して)印象が悪いといえば悪い」と自身の見解を示している。

 試合を中継していたテレビ朝日で解説を務めた日本代表OBの松木安太郎氏はこの場面で、「レフェリーが中途半端だな」と言及。また元日本代表DF内田篤人氏は「こういったプレーでゲームの熱、選手同士の1対1の強度が上がることがある」と経験談を基に語っていた。

 そうした点も踏まえ、家本氏は内田氏の意見を受けて「判定1つによって、選手がエモーショナルになるのはそのとおりだなと。公式戦だけでなくフレンドリーマッチでも、判定次第でファウルの質が変わることは、国際ゲームで往々にしてある」と同調している。

「PK、退場などの判定はより大きな意味を持つ。そうした重要なシーンでの判定はW杯じゃなくても、フレンドリーマッチでも大切な部分だと思う」

 また家本氏は「国柄でも、良い悪いではなく判定のさじ加減は変わってくる。中東だったら、イタリア、イングランドだったら……それぞれ異なってくるはず」と審判団の色も国によって出ると経験から語りつつ、ウルグアイ戦をジャッジした審判団を総評していた。

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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

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