ハリルが目をつけた秘密兵器「加藤恒平」 ブルガリアで輝きを放つボランチの正体とは?

「選ばれないと意味がない」

「ようやくここまで来たなぁとは、全く思わなかったですね。もちろん、今まで全く気にされていなかったので、(ハリルホジッチ監督に)名前を挙げて頂けたことは光栄ですし、一歩前進したと思います。ただ、あくまで、僕の存在を知ってもらえただけで、やっぱり選ばれないと意味がないので。さらに言うならば、選ばれて試合に出て、しっかり自分のプレーをして勝たないと意味がないと思います。そのためには、今居る場所で自分ができることを今まで通り継続するだけ。今回の件で多くの方からメッセージを頂きましたが、大切なのは周りがどんなに騒ごうと、見る目が変わろうと僕自身はブレないということ」

 代表メンバー発表の翌日、代表監督に名前を呼ばれた加藤はそう口にした。本人の中に残ったのは「招集されるところまではいけなかった」という事実だけ。メンバーリストに名を連ね、出場機会を得て、試合に勝つ。そのシナリオを実現させるためには、まだまだ今の立ち位置で満足することは許されない。

「アルゼンチンでビザが下りずに公式戦に出られなかった時も、町田でプレーしていた時も、その後に半年間所属チームがなくなっていた時でさえ、常に日本代表に入ると周りに言ってきました。笑われていたかもしれませんが、僕には関係ありません。サッカーを始めた時から、代表という目標がブレたことは一度もありません。なので、まずはどうしてもそこに選ばれたいです」

 現在の日本代表は、主力の顔ぶれが長年変わらないなど停滞感に包まれており、変革が必要な局面を迎えているのは事実だ。もちろん、新戦力台頭の最短距離にいるのは、欧州トップリーグやJ1で実績を積み上げてきた選手たちだろう。だが、加藤が各国を渡り歩き培ってきたハングリー精神は、日本代表クラスの誰にも負けない武器となる。ブルガリアの地で輝きを放ち始めた“武闘派ボランチ”が、閉塞感の漂うハリルジャパンに変化をもたらす一つの起爆剤になるかもしれない。

【了】

城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

 

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