【W杯】日本代表を救うのは「彼しかいなかった」 玉田圭司が悔やんだ、クロアチア戦の交代策
【専門家の目|玉田圭司】クロアチアに敗れて16強敗退、日本の戦いぶりと采配検証
日本代表はカタール・ワールドカップ(W杯)の決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表にPK戦の末に敗れ、初のベスト8入りはまたもお預けとなった。前半にセットプレーからFW前田大然が先制点を奪ったものの、後半序盤に同点ゴールを喫する試合展開となったなか、W杯2大会連続出場経験を持つ元日本代表FW玉田圭司氏がこの試合を改めて振り返り、MF三笘薫を投入したタイミングについて見解を明かした。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本は前半43分、ショートCKからMF堂安律がクロスを供給。ゴール前で相手に当たったこぼれ球を前田が押し込み、待望の先制点を奪った。ハーフタイムを迎えるまでの流れは悪くなく、玉田氏も「終始日本ペースだったと思います」と見る。先手を奪われたクロアチアは、グループ3試合で主力を起用し続けた影響からか、名手ルカ・モドリッチも輝きを放てずにいた。
玉田氏は「体力的にしんどいのはクロアチアのほうかなと思ったんです。走れていなかったし、攻守の切り替えのところに隙があって、それに対して日本は全員がハードワークして、圧倒的に日本が上回っていたと思います。セットプレーからチャンスがあって、それを上手くモノにできた。日本にとっては前半はパーフェクトだったんじゃないかと思います」と振り返る。
それでも、前回のロシアW杯で準優勝に輝いたクロアチアは、その経験値にものを言わせるように意地を見せた。後半10分、アーリークロスからFWイバン・ペリシッチの一撃で同点。ここから手堅い守り、さらに、縦に推進力のある攻撃を織り交ぜながら日本を苦しめる。互いに決め手を欠いて迎えたPK戦では、3-1のスコアで“完勝”した。
前半は日本ペースも、後半は「少しずつクロアチアが盛り返してきているのが伝わってきた」と玉田氏。日本にとってはPKでの敗戦はもちろん、「次の1点」を奪えなかったことも悔やまれる。切り札として期待が懸かった三笘がピッチに立ったのは後半19分。1-1とタイスコアへ持ち込まれたなかでの投入に、玉田氏はこう持論を述べる。
「三笘選手は警戒されていたと思いますが、延長戦でカウンターからシュートまで持ち込んだように、何かできると感じた選手は彼しかいなかった。1つ言えば、1-1になってからではなく、ハーフタイム明けに投入すべきだったかなとも思います。追加点を奪いたかったなかで、三笘選手が入っていたらどうなっていたのか。クロアチアが同点に追い付いたあとに盛り返してきていただけに、なおさらです」
クロアチア戦では、前線からのプレスでボールを奪い、カウンターを転じる形もほとんどなかった。史上初のベスト8入りという目標は惜しくも叶わなかった日本。グループリーグでドイツ代表、スペイン代表の強豪2か国から大金星を挙げた経験値を生かし、さらなるレベルアップを目指した道のりへと歩み出す。
[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役を引退した。