【W杯】「日本にとってラッキーだった」 玉田圭司が考察、スペイン“重要人物”不在の影響「同点ゴールがなかった可能性も…」
【専門家の目|玉田圭司】日本にまさかの逆転負け、スペインの選手起用に注目
森保一監督率いる日本代表は、カタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第3戦でスペイン代表に2-1の逆転勝利を収め、2大会連続となる決勝トーナメント進出を決めた。優勝候補の一角を相手に大健闘を見せたなか、かつて、名古屋グランパスや柏レイソルで活躍し、W杯2大会連続出場経験を持つ元日本代表FW玉田圭司氏は、スペインの選手起用に触れ「日本にとってはラッキーだった」と振り返った。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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スペイン戦で3バックを採用した日本は前半、FWアルバロ・モラタにヘディングシュートを決められ失点。劣勢を凌ぐ展開で前半を折り返したなか、後半頭からMF三笘薫、MF堂安律を投入した采配が的中し、後半3分に堂安のミドルシュートで追い付くと、同6分には三笘のクロスをMF田中碧が押し込んで2-1と逆転した。
このまま勝利した日本は、グループ首位でベスト16入り。コスタリカ代表を7-0で粉砕したスペインを1ゴールのみにとどめた。W杯2大会連続出場経験を持つ玉田氏は「スペインが大量得点できるチームだっていうイメージが強かったかもしれませんけど、守備的な布陣で対応されると1、2点しか取れない。まさにそのような展開でした」と、この試合を振り返る。
中盤にはMFセルヒオ・ブスケッツ、MFガビ、MFペドリと大会屈指のタレントを揃え、70%以上のポゼッション率を記録したスペイン。そんな優勝経験国も、日本の守備的システムを崩せず手を焼いた。前線からの連動したプレスでも脅威に晒され、同点被弾シーンではGKウナイ・シモンに対してFW前田大然がハイプレスを掛けた流れでゴールを許している。
そんなスペインに対し、玉田氏が注目したのが左サイドバック(SB)の選手起用だった。「日本戦には19歳のアレハンドロ・バルデ選手が先発しました。彼はバルセロナに所属していてポテンシャルは高いけれど、経験値は浅い。仮にジョルディ・アルバ選手が先発で出ていれば、日本の同点ゴールがなかった可能性もあります」
後半3分に生まれた同点ゴールシーンの直前、スペイン陣内の右サイドでバルデとMF伊東純也が競り合い、ルーズボールが堂安に渡っていた。玉田氏は「アルバ選手はプレスを剥がす術を持っている。難しいボールでもどうにかしてマイボールにして、逆にカウンターに持っていったりできる」と実力を評価したうえで、ジョルディ・アルバがこの時点で不在だった影響を指摘した。
日本戦で後半23分から起用されたジョルディ・アルバはマッチアップしたDF冨安健洋に封殺されるなど、見せ場はなし。躍動することはなかったものの、実力や経験値の高さに疑いの余地はないだけに「日本にとってラッキーだったんじゃないかなと思います」と、先発回避となった起用法へ見解を示した。
[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役を引退した。