「海外でも戦えるGKを育てたい」 名手・西川周作が思い描く“指導者”としてのセカンドキャリア

ジョアンGKコーチとの出会いで刺激

 そして西川は「その指導にも今後、自分が携わって変えていかなければいけないなと感じますね」と、自身のセカンドキャリアにGK育成に関わる意向があると明かした。

「ジョアンがやっていることを教えたいという気持ちもあって、毎日が学びの場ですよ。どうやって教えたらいいのかというアプローチも、選手をやりながら勉強しています。ほかのGKのトレーニングを見ても、なぜこのトレーニングをさせているのかという理由を感じさせるメニューをやるコーチもいるので。連続でバンバンやればいいというものでもないというか、奥が深いですよね。日本の指導も変わっていっていると思うし、ヨーロッパで活躍するような選手が間違いなく出てくると思う。そういう人を自分が引退したあとは育てたいなと思いますね。海外でも戦えるGKを育てたい」

 注目している日本人の若手GKについて聞くと、西川は「それは彩艶ですよね。ひと通り考えましたけど、周りからの期待の大きさも凄いですから」と、浦和のチームメイトで20歳のGK鈴木彩艶の名前を挙げた。鈴木は昨年の東京五輪で代表に選出され、今年の7月にはE-1選手権でA代表デビューした。昨季は一時的にリーグ戦のレギュラーを奪われるなど、年齢は関係なく対等な関係として競っている。

「彩艶もヨーロッパでやりたいという野心を持って頑張っていると思う。そして、自分も負けないと思っての戦いはしびれるものがある。若いいい選手がいると本当に刺激になるし、しっかりやらないとダメだなと思わせてくれる。そこで頑張れている自分もいますね」

 セカンドキャリアにも言及した西川だが、「身体が動く限りはサッカーがしたいし、辞め時は見つからないですね。身体も動くし」とも笑った。鮮烈なデビューから次世代のGKと呼ばれた西川が見せてきたものは、今や現代のGKが持つスタンダードになりつつある。そうした経験をしてきた西川は、次にどのようなGKを育成するのか。まだ現役を続けていく彼のプレーだけでなく、その先でも日本サッカー界にどんな足跡を残してくれるのかも楽しみだ。

[プロフィール]
西川周作(にしかわ・しゅうさく)/1986年6月18日生まれ、大分県出身。大分―広島―浦和。J1通算554試合・0得点、日本代表通算31試合0得点。チームを救う鋭いセービングはもちろん、パントキックの精度は神業レベルで、ゴール前から“つなぐサッカー”を体現できる唯一無二の存在。2021年に達成したJ1通算500試合出場は史上最年少(34歳10か月)だった。座右の銘は「笑う門には福来る」。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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