「妥当じゃない」 J3岐阜×長野、PKとなったハンド判定に元主審・家本政明氏が考察「身体のなかに腕が収まっている」

家本政明氏がジャッジを分析(写真はイメージです)【写真:高橋 学】
家本政明氏がジャッジを分析(写真はイメージです)【写真:高橋 学】

【専門家の目|家本政明】長野DF秋山へのハンドの反則で起きた事象を解説

 森保一監督率いる日本代表が9月に欧州遠征(23日にアメリカ戦、29日にエクアドル戦)を予定しているなか、日本対アメリカ戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏。9月10日に行われたJ3リーグ第24節FC岐阜対AC長野パルセイロ戦(1-1)で、話題となったハンドの反則でのペナルティーキック(PK)判定に見解を示している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 前半両チームはチャンスを生み出すも決めきれず、0-0でハーフタイムを迎えると、貴重な先制弾は後半38分、長野がフリーキック(FK)のチャンスからヘディングでDF乾大知が決めて1点リードする。攻防が激しく展開されるなか、その事象が起きたのは同43分だった。

 相手陣地でボールを奪った岐阜がショートカウンターを発動。MF庄司悦大が前線までボールを運び、右サイドを上がってきたMF吉濱遼平へ。吉濱は中央へカットインして割り込んでいくと、ペナルティーエリア外から左足で強烈なシュートを放つが、長野DF秋山拓也がブロックした。しかしこの時のボールが秋山の腕に当たったとして、上田隆生主審はハンドの反則でPKの判定を下す。結局このPKをFW藤岡浩介がきっちり決め、試合は1-1のドロー決着となっている。

 判定シーンをよく見ると、確かに秋山の左腕にボールは当たっているが、腕は身体から不自然に大きくしているようには見えない。家本氏はこの場面について「映像で見る限りはハンドとするのは妥当じゃない。厳しい(判定)かなと思います」と見解を示している。

「肩の下の腕のあたりに当たっていますが、左腕は身体に付いているように見えますし、自分の身体の中に腕が収まっている。前にも出していない。ディフェンダー側は十分注意と配慮をした身体の体勢を取っている。ハンドとなる項目は見当たらない」

 続けて、主審の立ち位置にも言及し、「レフェリーはすごく近くいい位置で見ている。ベスト・オブ・ベストポジションくらいです。だから、『なんでそう見たの?』とびっくりしました。この状態で手や腕に当たっても、おそらくほとんどのケースでハンドと認識されないケースが多い」と冷静な分析を展開している。

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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

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