「彼らを超えていくには…」 念願のウイング起用で決勝弾の原口がタイ戦不発の本田と香川に挑戦状

「キヨ君、貴史とも特徴が違う」

「僕はキヨ君(清武)や(宇佐美)貴史とも特徴が違いますから。僕は僕の良さを出そうと思ったし、自分の良さだけ考えていても監督の求めているものとは違うので、何度も裏に走ることを心掛けた。バランス良くできたんじゃないかと思う。監督には、何度も『あそこで出たらゴール』と言われていたので、一番分かりやすい結果を出せて良かった」

 トップ下に近いプレーを持ち味とする清武は異なり、サイドに張ったところでボールを受けてからアクセントになるプレーを何度となく見せた。そして、ハリル監督の求める最終ライン裏への飛び出しも状況を見ながら織り交ぜ、求められたゴールという結果も出した。UAE戦ではレスターFW岡崎慎司、トップ下の香川のみならず、清武、本田が中央のスペースに頻繁に顔を出す、“交通渋滞”が課題だったハリルジャパンにとって、ウイングを天職とする原口は重要なピースであることをアピールした。

 しかし原口は、この1ゴールに慢心する素振りは全く見せなかった。「良かったのは結果が出たこと。後半はプレーの質が下がったし、僕にも2点目や3点目を取るチャンスがあった。もっと強い相手には、ああいうところで決めないときつい試合もある。良かった面もあれば、課題というか、もっと上手くなりたいと感じた試合でもあった。ここでしっかりポジションを掴みにいきたい気持ちも強くなったし、チャレンジしていきたい」

 日本代表の2列目は本田、香川といった両エースが君臨し、長らく彼らのポジションを脅かす存在は現れていない。原口や宇佐美、武藤嘉紀といた世代にはこの日不発だった双璧の牙城を脅かすパフォーマンスが求められる。2人を追い越すためには継続性が必要だ。

「彼らを超えていくには、こういうのを続けるしかない。1試合良かったから追いついたではなく、何度も活躍を繰り返してやっと追いつける。続けなければいけない」

 超えるべき壁の高さは認識している。それでも、結果を出し続けることでエースの座を奪い取れると信じる男は本田と香川に挑戦状を送っている。17歳にして浦和レッズのトップチームに登録され、バイエルン・ミュンヘンも獲得に動いた逸材も25歳になった。日本代表の世代交代の旗頭になれるだろうか。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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