【インタビュー】千葉レディースの大滝麻未の出産から復帰まで　産後すぐに体幹トレ「割とすぐに戻って来ているかな」

　女性が社会で活躍する現代、一方でぶち当たる壁の1つが妊娠、出産だ。WEリーグ（日本女子プロサッカーリーグ）ジェフユナイテッド市原・千葉レディースに所属する元なでしこジャパン（女子日本代表）FW大滝麻未は、昨年11月5日に第1子となる長男を出産。現在はピッチへ復帰し、現役の「ママWEリーガー」としてボールを追いかける。出産を経た大滝は復帰までどのような道のりをたどったのか。女性アスリートが抱える問題とこれからの未来についても迫った。（取材・文＝FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞／全2回の2回目）

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　大滝にとって待望の長男が誕生した。昨年11月に生まれた愛息は柚生（ゆずき）と名付け、新しい家族とともに新しい人生を歩み出した。だが、現役のママアスリートにとっては産後から復帰へ向けた勝負が始まる。産後は体も大きく変化する。そのため、産前から続けてきた骨盤底筋のトレーニングを続けてきた。そして、産後はすぐに体幹トレーニングを取り入れた。

「呼吸で腹筋入れるとかのトレーニングはしていた。子宮にダメージ与えない程度の。難しいのは私ができるから周りができるとか、私ができないから周りもできないとかないこと。（体が変化することへの）戸惑いは無かった。骨盤は最初緩かったとは思うけど、気になる感じではなかった」

　トレーニングの甲斐もあり、回復は順調だった。産後１か月で練習復帰を果たした。

「怖くて躊躇するとか、100％いけていたところがいけないとかはあった。ただ、単純に産前産後という問題なのか、10か月ぐらい実戦をやっていなかったからかなのか。身体が動きづらいとか、自分がブレーキかけている感覚はあったけど、だんだん消えていった。試合勘はなかったりしたけど、練習でやっている分には割とすぐに戻って来ているかな、という感覚があった」

　そして、2月の皇后杯決勝で実戦復帰。自身の努力が実り、再びピッチでボールを蹴ることができた。そのなかでも大きかったのは家族、周囲のサポートだった。

「女性、アスリートがキャリアの選択肢を増やすためにはやはり環境が大事だな、と思った。選択ができる環境が整っていかないと。私もクラブの理解があり、WEリーグでプロ選手としてできるというのも大きかった。そうじゃないと、働きながら育児もサッカーもして、というのはなかなか難しかったと思う。そういう意味では。自分自身の気持ちもそうだけど、周りの環境が整うことで選択ができる女性も増えてくる。それは両輪で、私たち自身も変えていかないといけない部分もあるし、そのためには環境やサポートも必要。今は少しずつ女性も考え方が変わって働きながら出産する女性も増えているとは思うけど、今後そういう風に社会が変わっていけばいいかなと思った」

　クラブからは大きな支えがあった。まずは、遠征へ夫、息子の同行を許可してくれた。生後6か月になる前に断乳したが、数時間ごとの授乳にも協力的だった。また、「練習中のベビーシッターもサポートするよ」と声をかけてくれた。