Jリーグ序盤戦の「サプライズ6人」 伸びしろ十分の大型ルーキー松木、J3の“ネクスト前田大然”ら厳選

徳島へレンタル中の櫻井は、現在のJ2でも最も輝いているタレントの1人

■堀米勇輝(サガン鳥栖/MF)
今季リーグ成績(J1):11試合1得点

 1992年生まれのプラチナ世代として、アンダーカテゴリー代表時代から左足のキック精度に定評があったレフティーは、攻守に組織的なサッカーを展開する鳥栖で、コンビネーションと個の力を融合したプレーで違いを生み出している。

 大きな転機になったのが昨年夏、ジェフユナイテッド市原・千葉からモンテディオ山形への期限付き移籍だ。ピーター・クラモフスキー監督をコーチとして支えていた川井健太監督のもと、戦術ビジョンを学んだ。リーグ戦8試合と出場機会は多くなかったが、鳥栖の監督に就任した川井監督に才能を買われてやって来ると、2シャドーの主力として欠かせないピースになっている。

 ヴァンフォーレ甲府時代の同僚で名古屋グランパスのMF稲垣祥や日本代表で活躍するMF伊東純也(ヘンク)と現在も親交があり、彼らの活躍にも大いに刺激を受けているという。FC東京戦で決めた直接FKという武器もあり、29歳ながら再び日の丸を身に付ける時が来ても全く不思議ではない。

■櫻井辰徳(徳島ヴォルティス/MF)
今季リーグ成績(J2):12試合0得点

 現在のJ2でも最も輝いているタレントの1人だ。ヴィッセル神戸から徳島に育成型期限付き移籍した19歳の櫻井はこれまで、オン・ザ・ボールで違いを見せる、良くも悪くもクラシカルなプレーメーカーだった。言い換えるとボールを持たないことには始まらない選手で、それが鳴り物入りで加入した神戸で、しばらく壁に当たった大きな理由と考えられる。

 しかし、徳島ではダニエル・ポヤトス監督によりオフのポジショニングを一から学んだ。例えば、的確なポジションに立つことで相手のディフェンスを引き付け、周りの選手が使うスペースを提供したり、ボールを持たなくても全体を動かせるポジショニングだ。

 神戸でMFセルジ・サンペールが重要な存在となっていたのは、徳島で学んだ今だからこそ、櫻井も良く理解できると言う。長短のパスはJ1でも一級品のレベルで、パリ五輪を目指すU-21代表でもセットプレーのキッカーを任されるほど。憧れでもあるサンペールをいつか超えていくべき存在と認識する櫻井。まずは戦術眼とセンスを兼ね備えた中盤の軸として、徳島をJ1復帰に導く存在になれるか注目だ。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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