Jリーグ序盤戦の「サプライズ6人」 伸びしろ十分の大型ルーキー松木、J3の“ネクスト前田大然”ら厳選
【識者コラム】良い意味でサプライズを与えたJ1&J2&J3の6選手をセレクト
Jリーグはシーズン序盤戦が終了。開幕からおよそ3か月を経て、前評判通りのパフォーマンスを見せた選手のほか、世間的に“ノーマーク”だったプレーヤーが活躍した事例も少なくない。その中からここでは、良い意味でサプライズを与えたJ1&J2&J3の選手を厳選し、6人を紹介する。
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■佐々木翔(サンフレッチェ広島/DF)
今季リーグ成績(J1):12試合1得点
本来こうしたテーマで取り上げるのが申し訳ないぐらい、実績も経験も豊富な選手であり、守備的な仕事に関しては数年来、安定したパフォーマンスを継続している。注目したいのが攻撃面の向上だ。今シーズンの広島はミヒャエル・スキッベ新監督の攻撃設計により、相手ディフェンスのスペースを使っていくビジョンが明確になった。
佐々木は3バック左をベースにインとアウトのポジションを使い分けながら、左の相棒であるMF柏好文や左シャドーがメインである大卒ルーキーFW満田誠に効果的なパスを配球している。特にボランチとアウトサイドの合間にパスコースが生じた瞬間、ズバッと差し込む縦パスは危険で、多くの決定機を生み出している。
今年11月のカタール・ワールドカップの頃には33歳になるが、肉体的に目立った衰えも見られず、残り半年間でさらなる充実を示して左サイドバックの主力に名乗りを上げる可能性もある。
■松木玖生(FC東京/MF)
今季リーグ成績(J1):11試合1得点
クラブユースからプロデビューしている選手も多く、高卒ルーキーと言うのは昔のように騒ぐべき存在ではないと筆者は考えている。しかしながら、開幕戦からここまで継続的にスタメンで出場し、インパクトも残しているとなると、やはり特筆に値する。
川崎フロンターレとの開幕戦“多摩川クラシコ”では、フィジカル的な強さに頼ったところも見られたが、試合ごとのアップデート力が高く、アルベル・プッチ・オルトネダ監督の求める戦術理解、状況判断も向上しているように見られる。
U-21日本代表では1つ上の世代と一緒に行動しているが、現場で見ても年下感が全くなく、それでいて明るくコミュニケーションを取っている。アルベル監督によると、まだまだ冷静さが必要な時間帯やシーンも見受けられるとのことだが、そこは伸びしろでしかないだろう。
4-3-3の右インサイドハーフで“逆足”を生かすのがベースだが、相手との関係や状況によってはMF安部柊斗と左右を入れ替えて左サイドから攻撃に絡むなど、オン&オフの引き出しも増やしている。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。