昨季15位→上位躍進 J1柏が開幕前の低評価を覆して“V字回復”を果たしたワケ

好順位につけるも「まだ何も成し遂げていない」と高みを目指す

 そして、忘れてならないのは、既存選手たちの「昨年と同じことを繰り返してはいけない」という意識が強まったことである。試合でうまくいかなかった部分をそのままにせず、不明瞭な部分があれば選手間で入念にコミュニケーションを取ってクリアにし、迷いのない状態で次の試合を迎える。そのサイクルが今のチームには出来上がりつつある。

「1試合1試合、何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか、すごく明確にできていると感じます。実際にそこが生きていると思いますし、ピッチ内での迷いがなくなりました。昨年はずっとモヤモヤしたまま、迷ったままプレーしていたものが、うまくいっていないときは『こうしていこう』という会話もチーム内では生まれています」(古賀)

 ほかにも、細谷をはじめとしたアカデミー出身の若手選手たちが台頭し始め、下からの突き上げでチーム全体のポジション争いには新たな競争が生まれた。何より現在の好成績にも各選手が満足せず、「自分たちはまだ何も成し遂げていない」と地に足を着け、より高みを目指している。

 まだシーズンは序盤戦。この先も必ず難しい時期はやってくるだろう。ただ、唯一断言できるのは、今年の柏は戦術的にもチーム内の雰囲気でも、昨年とはまったく別のチームであるということだ。

(鈴木潤 / Jun Suzuki)



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