森保ジャパン、W杯最終予選出場メンバー通信簿 文句なしのMVP&本大会へ“収穫”となったタレントは?

8試合に出場したFW大迫勇也【写真:高橋 学】
8試合に出場したFW大迫勇也【写真:高橋 学】

大迫を脅かす存在が不在なのは課題

【FW】
■大迫勇也(ヴィッセル神戸) 6点
最終予選成績:8試合・2得点
 敗れたオマーン戦こそ無得点だったが、中国戦の2試合ではしっかりとゴールを決めて勝利に貢献。困った時のポストプレーは健在だが、ゴール前の迫力と精度はやや物足りなさもあった。大一番のオーストラリア戦を怪我で逃したのは痛かった。依然としてFWの1番手であることは変わらないが、フル稼働が難しくなってきているなかでピーキングが鍵に。

■古橋亨梧(セルティック) 5.5点
最終予選成績:6試合・0得点
 本来であれば最終予選で活躍が期待された1人だが、ハムストリングの怪我が再発した影響で、今年の4試合を欠場した。それまでの6試合は中国戦に先発したのみで、5試合は途中出場。しかも左サイドの起用が多く、そこからゴールに直結するプレーを発揮しにくかった。それでも積極的なフリーランで攻撃に勢いをもたらし、ホームのオーストラリア戦などで勝利に貢献したことは評価に値する。

■オナイウ阿道(トゥールーズ) 5.5点
最終予選成績:1試合・0得点
 敗れたアウェーのサウジアラビア戦のみ途中出場。1点を追いかける展開で、ゴール前のチャンスもありながら決めきれなかったことが、その後の序列に響いてしまったかもしれない。トゥールーズでは左ウイングなどで結果を出しており、チームは2部首位でリーグ・アン昇格が確実なだけに8か月で逆転は射程圏内だ。

■浅野拓磨(ボーフム) 6.5
最終予選成績:6試合・0得点
 ホームのオーストラリア戦で記録はオウンゴールとなったが、事実上の決勝ゴールで日本を予選突破に導く立役者の1人となった。あのプレーがなければ予選突破も危ぶまれただけに、敬意を表して「6.5」としたい。大迫を欠いたアウェーのオーストラリア戦はチャンスに決めきれないシーンもあったが、持ち前のスピードで相手を疲弊させるなど貢献した。ただ、フィニッシュのクオリティーという意味ではもったいないシーンが多い。そこで決定力を示せないと、ライバルがフルコンディションならメンバー漏れの危険もある。

■前田大然(セルティック) 6点
最終予選成績:2試合・0得点
 出場したのはホームの中国戦とサウジ戦だけだが、途中出場のインパクトは確かで、前からの精力的なディフェンスは試合をクローズする効果も発揮した。それでもストライカーである以上は得点が欲しかった。大一番のオーストラリア戦はヒーローになれるビッグチャンスだっただけに、直前の事態は残念だったが、本大会に向けてのアピールに期待したい。

■上田綺世(鹿島アントラーズ) 6点
最終予選成績:2試合・0得点
 FW陣の相次ぐアクシデントでもらった出場チャンスをラスト2試合で生かしきれなかった。それでもオーストラリア戦の三笘の決勝ゴールは上田がスペースメイクして生まれたものだ。ベトナム戦も直線のオフサイドでノーゴールとなったが、特に流れが良くなった後半は得点の匂いを十分に感じさせた。課題だったポストプレーも徐々に良くなり、残り半年間で本大会のエースに名乗りを上げるポテンシャルは示した。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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