今季J1リーグで躍進を遂げ得る「ダークホース候補」 “ポジティブな戦いぶり”の3クラブを厳選
【識者コラム】「ダークホース」として上位進出候補となり得るチームを紹介
2022シーズンのJ1リーグは、2月18日の開幕から1か月を迎えようとしている。優勝候補と目されたチームの躓きが見られるなか、この先、「ダークホース」として躍進を果たすクラブは現れるのか。ここでは序盤戦の戦いぶりを踏まえ、その候補となり得るチームを厳選して紹介する。(※各チーム成績は、3月10日時点)
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■ダークホース候補1 サガン鳥栖:11位/3分(2得点2失点)
ここまで未勝利だが、出だしのパフォーマンスは悪くない。主力が大幅に入れ替わったことが不安視されたが、川井健太監督はキャンプから非常に強度を意識したトレーニングを積み重ねてきた。組織的にボールを奪い、そこからスペースを有効に使いながら戦うスタイルで、サンフレッチェ広島、湘南ベルマーレ、名古屋グランパスを相手に、90分を通して優勢に試合を運んでいる。
全体的に若い選手が多くいるなかで、中盤をMF小泉慶、MF福田晃斗、MF藤田直之といった経験のある選手がコントロールできているのはメンバー構成的にもヒットだった。スタメンはほぼ固定されているが、ルヴァン杯を見ても現在サブと考えられる選手のポテンシャルは低くない。
ネックはやはり前線に核となる選手が出てきていないこと。大卒ルーキーFW藤原悠汰やFW梶谷政仁の成長には期待しながらも、やはりここ2試合欠場中のFW垣田裕暉や怪我で出遅れているFW宮代大聖の新戦力2人が引っ張って行く必要がある。あとは運動量がベースのチームだけに、夏場の選手起用というのが躍進の鍵になってきそうだ。
■ダークホース候補2 柏レイソル:3位/2勝1敗(5得点2失点)
開幕2連勝(第1節:湘南ベルマーレ戦/2-0、第2節:横浜F・マリノス戦/3-1)は、相手に退場者が出た影響もあり、ラッキーだったところもある。それでも、昨年は終盤まで残留争いを強いられ、なおかつ若い選手が多いだけに、勝って自信を付けるということが非常に大事だった。
可変性の高いスタイルを取り入れているなかで、ネルシーニョ監督らしい状況に応じた起用法もここまでは当たっている。なにより、FWドウグラス という経験豊富な新エースに引っ張られながら、パリ五輪世代のFW細谷真大や成長株のMF山田雄士といったアカデミー育ちのタレントが着実に、主力を担えるところまで成長しているのは心強い。
1-0で敗れた第3節の鹿島アントラーズ戦も、終盤の攻勢などを見る限り、内容的に悲観するパフォーマンスではなかった。ここまでリーグ戦であまり絡めていない若手もポテンシャルは高く今後、アビスパ福岡(第4節)、名古屋グランパス(第5節)、サガン鳥栖(第10節)とハイプレスがベースのチームとの対戦が続くなかで、ズルズル行かなければそのまま上位躍進を狙って行く足がかりになりそうだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。