世界衝撃…日本代表「FKキッカー列伝」 左右の“2枚看板”を追って天才レフティーが台頭

W杯で火を噴いた本田の無回転「ブレ球」FK、代表でチャンスが少なかった名手も

 また、その中村とほぼ同世代で、後に代表チームの中心になっていった名手がMF遠藤保仁(ジュビロ磐田)。遠藤は10年南アフリカW杯のデンマーク戦で、ゴール正面から右足で美しいカーブを描くコントロールショットをゴール内に鮮やかに決めた。その後、アルベルト・ザッケローニ監督が率いるチームでは不動のゲームメーカーになっていったが、味方に合わせるボールも含め、多くのゴールを導く存在だった。

 その南アフリカW杯で強烈な一撃を決めたのがMF本田圭佑だ。左利きの本田は、先輩の中村を相手にFKを蹴ることを主張して話題になるなど、メンタルの強さを持つ。どちらかと言えば「曲げて落とす」キッカーが揃う歴代名手の中では、無回転の「ブレ球」が武器のタイプだ。火を吹いたのが遠藤と同じくデンマーク戦で、右サイドよりの距離がある位置から決めた無回転の一撃は、日本代表のベスト16入りに大きく貢献したと言えた。

 ほかにも、02年日韓W杯のトルコ戦でクロスバー直撃のFKを放ったMF三都主アレサンドロや、「黄金世代」のMF小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)やMF小笠原満男といったキックの精度に確かなものを感じさせる選手もいたが、ここまで紹介したような名手たちと活躍の時期が重なった。また、MF阿部勇樹やMF中村憲剛といった、Jリーグでは名手として知られるも、代表チームではあまりチャンスが多くなかった選手もいる。

 近年の日本代表では、精度を感じさせる選手はいるものの、いわゆる「セットプレーのスペシャリスト」と誰もが認める存在は出てきていない。際どいところで勝負が決まっているアジア最終予選やW杯本大会を見据えるなら、セットプレーという武器の有無は大きい。先日、素晴らしいFKを決めた久保が、歴代の名手たちの仲間入りをしていくようなキッカーになっていくのかも含め、日本代表の課題であり注目ポイントと言えそうだ。

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