日本代表の「箱」問題、肝心なのは“中身” まずは現状の選手がベストか問われるべきだ

フランス代表で活躍するFWカリム・ベンゼマ【写真:AP】
フランス代表で活躍するFWカリム・ベンゼマ【写真:AP】

ベンゼマ選出のフランスは新しい“箱”を見つけて短期間で復活

 例外は、1つか2つのクラブチームを中心に代表を編成しているケースだ。2010年W杯優勝のスペイン代表はバルセロナが中心だったし、14年のドイツ代表はバイエルン・ミュンヘンだった。今年開催されたEUROで優勝したイタリアもこれに近い。

 イタリア代表の場合、選手の所属クラブはバラバラだが、最初から「箱」が決まっていた。システムに合わせて選手を選考しているので機能しないはずがなく、確かに攻守に洗練されていて、まるでクラブチームのようにスムーズだった。ところが、そのイタリア代表はW杯予選でもたつき、スイス代表にグループ1位の座を明け渡してプレーオフに回ることになっている。

 システムに合わせて選手を選んでしまっているので、たぶんそれ以上進化するのが難しいのではないかと思う。いい選手がいても箱にピッタリはまらないと使いにくい。完成されているぶん進歩はなく、進歩が止まれば停滞し停滞は退歩と同じだ。

 対照的だったのがフランス代表だ。カリム・ベンゼマという大物が加入した。ベンゼマも入れられる新しい箱を探すうちにユーロは時間切れで敗退したが、その後に5-2-3という箱を見つけて短期間で復活。ネーションズリーグに優勝している。

 肝心なのは箱より中身だ。選手選考の幅が広い代表チームは特にそうで、逆に箱の機能性向上はあまり期待できない。そういうわけで、その時々の選手や状況に合わせて適切なシスムテを探す競争になっている感がある。新しい選手に箱が小さすぎるなら、選手を諦めるよりも箱を変えるのが筋だ。

 日本代表の4-3-3がいいかどうかより、まずは現状の選手がベストなのかどうかが問われるべきだろう。そして中身を収納できる箱を探す作業になる。「コイツを収められる箱があるんだろうか?」と悩むぐらいの選手が現れてくれるのが、最も望ましい状態だ。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)


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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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