初陣のメンバー選考で涙も… 元教え子が明かす「日本代表監督・森保一」の素顔と信念 なぜ選手と人を惹きつけるのか

水本が森保監督からの言葉で印象に残っているのは?【写真:Getty Images】
水本が森保監督からの言葉で印象に残っているのは?【写真:Getty Images】

2012年のC大阪戦と15年の浦和戦で森保監督が試合中に“喝”

 森保監督は広島時代、そして日本代表を率いる現在も、普段は温厚で、記者会見でも飄々としている印象が強い。しかし、そんな内に秘めるタイプの指揮官も、雷を落とすことがある。15年のJ1リーグ第2ステージ第3節の浦和レッズ戦で、前半に腰の引けた戦いを見せた選手たちに対し、ハーフタイムのロッカールームで「相手が怖いんなら、いつでも替えてやる。縦に行けっ」と声を張り上げ、熱い思いをぶつけたのは有名な話だ。その場にいた水本によれば、「僕が記憶している限りでは、ハーフタイムの雷は2回」だという。

「(雷の)1つが2015年の浦和戦、もう1つが2012年(6月)のアウェーでのセレッソ戦(第14節/4-1)。自分たちがやってきたことを出せず、不甲斐ない試合をしていたのが監督が怒った理由だと思います。セレッソ戦も1-1で前半を折り返して、ハーフタイムの時点で受け身になっていて良くなかったので雷を落とされて、結果的に勝ちました。もしかしたらメディアの方には見えていない部分かもしれないですけど、本当に熱い監督なんです」

 森保監督と過ごした5年半の中で、水本が最も印象深かったことは――。「守備陣に向けて言った言葉で覚えていることが1つあります」と水本は振り返る。

「攻撃の選手は、いろんなアイデアを出して得点を奪いに行く。それ上回るアイデアを守備陣も持とう、と。『アイデア』は攻撃側によく使われる言葉だと思いますけど、守備側も相手の状況を上回るような工夫をしようと言ってくれました。個人的には、2013年(5月)のアウェーでの大宮戦も印象に残っています。僕の中途半端なプレーが原因で、相手FW(富山貴光)とうちのGK(増田卓也)が接触してピッチに救急車が入った。終盤間際のそのプレーで失点し、結果的に敗れてしまったんですが、精神的に立て直すのが難しかったなかで、広島に戻ってからも森保監督に声をかけてもらって、次の週もプレーさせてもらったのは忘れられない出来事ですね。気配りというか、選手が100%で試合に臨めるような状況を作ってくれるんです」

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