久保建英、レアル戦は“切り札”起用? スペイン人記者を直撃「本当に重要な対戦を…」

サポーターでにぎわうマジョルカのホームスタジアム「エスタディ・デ・ソン・モイシュ」【写真:高橋智行】
サポーターでにぎわうマジョルカのホームスタジアム「エスタディ・デ・ソン・モイシュ」【写真:高橋智行】

アルベルト・エルナンド記者は後半の久保を評価「全体的に良かった」

 リーガ開幕から3試合連続で引き分けているビジャレアルは、マジョルカよりも順位が下だった。しかし、エースのスペイン代表FWジェラール・モレノを怪我で欠きながらもUEFAチャンピオンズリーグ出場クラブという意地を見せ、序盤からマジョルカを圧倒する。

 そのため必然的に守備に追われた久保だったが、この日は中盤で積極的にプレスをかけてボールをカットするプレーが目立っていた。一方、攻撃ではボールをほとんど受けられず、厳しいマークに遭いドリブル突破できなかったが、前半終了間際に見せ場を作る。FWアマト・エンディアイエのパスを右サイドで受けると、3人のDFを引きつけ、その間を通す絶妙なパスを送るが、MFダニ・ロドリゲスのシュートはわずかにゴール上を越えていき、初アシストはお預けとなった。

 後半に入っても久保は楽にプレーさせてもらえなかったが、パスを正確につなぎ、マジョルカに試合が傾いた終盤は攻撃の中心となって積極的にシュートも打ち、後半アディショナルタイムにピッチを去る際、スタンドの観衆から大きな拍手を受けていた。

 試合後、ルイス・ガルシア監督が「我々は最初の15分間苦しみ、20分間で3回システムを変更し、それ以降、試合を拮抗させることができた」と語ったように、マジョルカはビジャレアルのサッカーに上手く対応して0-0で引き分け、2勝2分1敗の勝ち点8で中位をキープしている。

 この試合の久保のパフォーマンスについて、スペイン各紙の評価は分かれた。スペイン紙「AS」、マジョルカの地元紙「ウルティマ・オラ」が2点(最高3点)と高評価を付けた一方、スペイン紙「マルカ」は1点(最高3点)にとどまった。

「ウルティマ・オラ」紙は2点と高く評価した理由について、「久保は右サイドで常にサプライズを起こそうとしていたが、序盤は(ペルビス・)エストゥピニャンに抑えられた。しかしその後、パフォーマンスを上げていき、全体的に良い出来だった」と説明している。

 現地取材をしていたスペインラジオ局「カデナ・セール」のアルベルト・エルナンド記者を直撃すると、この日の久保のパフォーマンスについて次のように分析した。

「クボは今日、序盤はビジャレアルにゲームを支配されたことで、他のチームメートと同じようにボールの後ろを走らざるを得なくなっていた。なぜならマジョルカには他にやれることがなかったからね。アマト、ダニ・ロドリゲス、フェル・ニーニョの攻撃の選手たちとともに大きく後ろに引き、必死に守備をする必要があった」と前半は厳しい展開だったことを強調した。

 一方、後半については「クボは前半に比べるとボールを持てるようになり、ピッチで楽しい時間を過ごすことができたと思うし、全体的に良かったんじゃないかな」と高評価。続けて「2シーズン前のクボは序盤、レギュラーとベンチスタートが交互になり不安定だったけど、今季は今の流れを維持してチームに貢献していけば、このままレギュラーで居続けることができるはずだ」と、現在のパフォーマンスの良さを認めていた。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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