マン・Uの約270億円補強は“パニック・バイ”か、“新銀河系軍団の誕生”か

今季昇格組相手に演じた大失態

 9月21日、プレミアリーグ第5節レスター・シティ対マンチェスター・ユナイテッド(マン・U)戦が行われた。ルイス・ファン・ハ―ル監督は、新戦力であるFWラダメル・ファルカオ、MFアンヘル・ディマリア、MFアンデル・エレーラ、MFダリー・ブリント、DFマルコス・ロホを先発のピッチに送り出した。ベンチスタートのDFルーク・ショーも加えると、総額1億5000万ポンド(約270億円)という世紀の大補強の成果を前面に押し出し、アウェーの地に勇躍乗り込んだ。
 
 その一戦は、試合開始早々に動いた。前半13分、左サイドからのファルカオのクロスをFWロビン・ファン・ペルシーがヘディングで合わせて今季初ゴールを決めた。さらに前半16分にFWウェイン・ルーニーからのパスを受けたディマリアがGKの頭上に弧を描く巧みなチップキックで追加点を挙げる。直後の17分にはFWレオナルド・ウジョアのゴールで1点差に詰め寄られるも、後半12分にディマリアのシュートを、エレーラがヒールで軌道を変えて、技ありのゴール。これでスコアは3-1となり、昇格組のレスターの息の根を止めたかに思えた。だが、マン・Uの悲劇はここから始まった。
 後半17分にDFラファエルが与えたPKを相手FWデイビット・ニュージェントに決められると、後半20分にはインテルから加入した元アルゼンチン代表MFエステバン・カンビアッソのプレミア初ゴールでスコアをタイに戻される。34分、38分と立て続けに失点し、3-5で逆転負け。プレミア最多優勝チームは、完膚無きまでにたたきのめされ、大逆転で大金星を献上してしまった。
 マン・Uは3-1とリードを奪いながら、まさかの4失点を喫した。なりふり構わぬ大型補強でスーパースターをそろえたはずのレッド・デビルズに、一体何が起こったのだろうか。
「十分なバランスが取れたチームとは言えない。DF面が不足している」
 ファン・ハ―ル監督は、4-0で今季初勝利を飾った9月15日のQPR戦後の会見でそう口にした。今回の歴史的敗戦は、その言葉通りのアンバランスさが招いた悲劇だった。
 攻撃陣に関しては移籍市場でファルカオ、ディマリア、エレーラを加え、レアル・マドリード顔負けの選手層をそろえてみせたが、守備陣に関しては疑問が残る。ショー、ロホ、ブリントは3人ともブラジルワールドカップで左サイドバックを務めた左利き。それぞれ特徴は違えど、同じようなタイプをそろえたことに疑問符を付けざるを得ない。

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