久保“5つ星”、「ミスだらけ」と低評価の選手は? 南アフリカ戦出場15人を金田喜稔が採点

田中は質の高いプレーを見せたからこそ「もっとミドルを狙ってほしい」

■久保建英(レアル・マドリード)=★★★★★

 得点シーンは「スーパー」の一言。思わず笑ってしまうほどの芸術的なトラップで止め、自らの間合いのなかで左へ持ち出し、GKの手をかすめるようなカーブを描く低弾道のシュートを放つ。淀みのない動きすべてが完璧だったし、1点が奪えずに焦りも見え始めたチームを本当に救う一撃だった。先日のスペイン戦でも指摘したとおり、久保のシュート意識は物凄く高い。この試合でも前半から得意の右45度で受ければ、中へ運びシュートというシーンを作っていた。対峙するDFにとってはパスも出せてドリブルで縦にも中にも運べる久保が、シュートを貪欲に狙ってくる状況は恐怖でしかないだろう。このゴールへの姿勢はすべての選手にとって見本になる。

■堂安 律(PSV/→後半40分OUT)=★★

 6月から親善試合で4試合連続ゴールと、“10番”を背負うエースとして最高の状態で五輪を迎えた。期待値が高かったからこそ、南アフリカ戦でのパフォーマンスには不満が残る。もちろん、選手には好不調の波があるものだが、この試合での堂安は普段に比べてボールを持てない、仕掛ければ取られる、パスミス、酒井との右サイドでのコンビネーションも思うようにいかないとミスだらけ。久保とは何本か効果的なパス交換で相手を押し込んだシーンはあるが、エースとしてのパフォーマンスを考えれば期待外れと言わざるをえない。もっとも彼自身がそれをよく分かっているはずで、次戦に向けて切り替えられる強いメンタリティーも持っている。メキシコ戦では「さすが堂安」というプレーを見せてもらいたい。

■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★★

 攻撃参加でそこまで目立った部分はなかったが、ピンチを早めに察知して潰す働きは相変わらず。もどかしい展開のなかでも自らの任務を遂行し続けた。後半に入ってから、パスが1メートルほどずれて相手に取られてしまうというシーンが珍しくあったが、全体的には1-0の勝利に貢献する働きだった。

■田中 碧(デュッセルドルフ)=★★★★

 久保の決勝点につながるサイドチェンジなど、長短の高精度パスで攻撃をコントロール。遠藤とのコンビネーションもスムーズで、中盤で存在感を発揮した。質の高いプレーを見せていたからこそ、求めたいのはミドルシュートの意識。あれだけ敵陣ペナルティーエリア手前で横パスをもらっているのなら、もう少し狙う姿勢を見せたいところ。決める力が十分あるだけに、相手守備陣を揺さぶるためにも打ってほしい。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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