「個人的にはいただけない」 闘莉王が指摘、“森保采配”に見えた「2つの懸念材料」

元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏【写真:荒川祐史】
元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏【写真:荒川祐史】

1トップは攻撃に注力すべき、相手DFは裏を執拗に狙い続けるFWのほうが怖い

 もう一つは、いくら強豪相手とはいえ、試合終盤の押し込まれっぱなしの状態は避けたい。たとえ相手に押し込まれながらも、日本にもカウンターで一発チャンスがあるという状況を作らないといけないと思う。相手に“怖さ”というものを与えなければいけない。

 1トップは攻撃に注力すべきで、まずは相手の最終ラインの脅威にならないといけない。林大地は素晴らしいプレーを見せてくれた。でも、あそこまで相手のボランチを追いかけ回し、ボランチの位置まで下がってほしくはない。

 1トップがあんなに守備に関与せずとも、10人で凌ぐことができると思う。クリアボールをあわよくばチャンスや決定機につなげるような戦術性や意識がほしい。イメージとしては、2012年ロンドン五輪の永井謙佑。たとえ劣勢でも、リードをしていても、追加点を狙えるような柔軟性はほしい。

 最終ラインの冨安健洋も吉田麻也も、前に良いパスを出せる。FWには相手のボランチを追いかけ回してほしくない。個人的に1トップは、相手のセンターバック2人の間で、最終ラインに並ばせたい。DF目線で言えば、激しいチェイシングよりもクリアボールで裏を執拗に狙い続けるFWのほうが、相手にとっては絶対に嫌なもの。日本の3人のFWなら、その役割を誰でもこなせると思う。その選択肢があるだけで、終盤の戦いもガラリと変わってくる。

 練習試合はあくまで練習試合。数少ない機会なので、様々なオプションを試す側面もあったと思う。53年ぶりのメダルをぜひ目指して、全力で戦ってもらいたい。

[プロフィール]
田中マルクス闘莉王/1981年4月24日、ブラジル出身。渋谷幕張高を卒業後、2001年に広島でJリーグデビュー。03年に日本国籍を取得し、04年アテネ五輪に出場した。その後は浦和でJ1とACL初制覇、名古屋でもJ1初優勝に貢献。06年にはJリーグMVPを受賞した。日本代表としても43試合8得点の成績を残し、10年南アフリカW杯ベスト16進出の立役者に。19年限りで現役引退。Jリーグ通算529試合104得点で、DF登録選手の100得点はリーグ史上初。現在は公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」でも活動中。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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