ポルトが示した「2ライン」の解答 「ポジショナルプレー」にもはや優位性はない

守備側の対策を上回る「何か」が求められている

 ユベントスの攻撃は、パスワークでサイドを破れなかった。ポルトがサイドを3人で塞いでいて、ハーフスペースも埋まっている。中央突破のイメージはあまり持っていないようで、やり直しが多くなる。そうすると、途中で引っかかってカウンターを食らうという悪循環になっていた。ユベントスのアイデア不足ではあるが、そうしたのはポルトの守備力だったとも言える。

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 ポルトは引くばかりではなく、相手陣内に攻め込んだ後は果敢にハイプレスも仕掛けていた。10人になると本格的に6-3の2ラインになって、ハイプレスどころではなくなってしまったが、クロスボール対応が素晴らしく、特にペペの能力が光っていた。

 ポジショナルプレー自体は、もはやアドバンテージではない。最終ラインを増員すればサイドチェンジされてもサイドは空かないし、ハーフスペースを埋めてしまえば多くの相手は攻め手を失う。アトレティコ・マドリードは引いた時には5バックで賄っていて、ジョゼ・モウリーニョ監督のトッテナムはボランチがサイドバックとセンターバックの間に吸収される5バック化を示している。教科書どおりの攻撃では効果がなくなりつつある。

 ポジショナルプレーはデフォルトとなり、対策も進んだ。守備側の対策を上回る「何か」があるかどうかが、ポイントになっている。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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