ロナウジーニョに中村俊輔… 女子サッカー漫画『さよなら私のクラマー』で描かれる名場面

ロナウジーニョがモデルの国府妙(右) (第25話より)【画像:©新川直司/講談社】
ロナウジーニョがモデルの国府妙(右) (第25話より)【画像:©新川直司/講談社】

「やっぱりロナウジーニョは描いたほうがいいよねと」

――久乃木学園戦(第5話/2巻)で、恩田がマルセイユ・ルーレットでDFをかわしてシュートを決めるシーンがありますよね(味方のファウルでその後ノーゴール判定になった)。過去にジダンが同じようなプレーでシュートまで持ち込んだことがあったんですが、実際のプレーでは確かシュートを枠外に飛ばしているんですよね(2003-04シーズン、アウェーでのバジャドリード戦)。

「よくご存知で! あのシーンはまさにそのプレーを元にしています。昔のプレー集動画などを見て、それを思い出しながら描いているものが多いんです」

――最近のプレーでいうと、東京都の興蓮館高校のエースFW来栖未加(くるす・みか)がアルメニア代表MFヘンリク・ムヒタリアンのスコーピオンシュートを再現しました(40話/11巻)。これはなかなかマニアックなプレーだと印象に残っています。

「そうですね。あれも完全に真似て描いてはいますが、漫画で表現するのは難しいプレーで、動きがないと凄さが伝わらないかなとも思いました。来栖は泥臭いFWなので、元日本代表の鈴木隆行をモデルにしています。日本で泥臭いといえば、やっぱり鈴木隆行だな、と」

――先ほどロナウジーニョが華やかな選手として名前が挙がりました。栄泉船橋高校のFW国府妙(こくぶ・たえ)はプレーからゴールパフォーマンスまで、まさにロナウジーニョそのものです。

「蕨青南との試合で国府がドリブルで独走していくシーンがあります(第25話/7巻)。あれは完璧に真似して描いたわけではないんですが、イメージとしてはレアル・マドリードとのエル・クラシコでロナウジーニョがスタンディングオベーションを受けたゴールをモデルにしています。彼のプレーはエラシコやオーバーヘッドシュート、背中でのパスなども他にもいろいろ描いています。

 やはりロナウジーニョは描いたほうがいいよねというのは最初から考えていました。派手なプレーのほうが見ている人も真似したいと思うだろうし、そういうのを見てサッカーを好きになるきっかけになってもらえたら嬉しいです」

『さよなら私のクラマー』
月刊少年マガジン(講談社)で好評連載中。コミックスは第12巻まで発売中(2020年7月現在)。

新川直司(あらかわ・なおし)
2008年『冷たい校舎の時は止まる』(原作/辻村深月/全4巻)でデビュー。著作に『さよならフットボール』全2巻、『四月は君の嘘』全11巻がある。2016年から『さよなら私のクラマー』を連載中。

(石川 遼 / Ryo Ishikawa)



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