「開幕4連敗」はクラブワースト “新生”清水、苦しい船出も…垣間見せた躍動の予感
【J番記者コラム】MF中村が中盤で存在感見せるも…G大阪に1-2敗戦
清水エスパルスはJ1リーグ開幕から3連敗中とクラブのワースト記録更新中のなかで、今節は制限付きではあるが観客を入れての開催が許された最初のホームゲームとなり、4,131人のサポーターがスタジアムに駆け付けた。チャントや鳴り物などの応援ができないなかではあったが、熱いサポートを受けて今シーズンの初勝利を目指し、再開後は1分1敗と調子の出ていないガンバ大阪をホームに迎えた。
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ここまでの試合を振り返って、清水のピーター・クラモフスキー監督は「チャンスを決め切ることができれば」と決定力不足を嘆いていたが、まさにこの試合もそこがポイントとなった。しかし、再開後の2試合と比べても本当の意味でのチャンスの数は多く、「決定的」と言えるものも多かった。前節のセレッソ大阪戦に比べれば相手のプレスに苦しむことも少なく、ある程度ボールを持てる展開にも恵まれたが、これまでの全体的な閉塞感は感じられず「自分たちのサッカー」の片鱗は見せられた。
その要因の一つとして挙げられるのが、MF中村慶太が怪我から復帰したことだ。軽快な球さばきで試合をコントロールした開幕戦以来のスタメンでボランチに入った中村は、試合後に「存在感を出せた」と自ら評価したように攻撃の組み立て役としてチームを牽引した。一度は同点に追いついた後半39分のDF立田悠悟のゴールも、中村からの柔らかい優しいクロスからだった。足をつって同45分に交代するまで、ボールを前に運ぶプレーでその力を十分に示した試合となった。もちろん、中村が攻撃に集中できるようにサポートしたボランチの相棒であるMF竹内涼の存在も忘れてはいけない部分でもあった。
課題である決定力は、期待の新加入FWカルリーニョス・ジュニオがGKとの1対1を決められない場面などがあり、まだまだ改善されているとは言い難い。だが今年の1月にスイスで練習試合をやって以来、清水に移籍して6月の藤枝MYFCとの練習試合まで5カ月間も試合をしておらず、本人も「試合勘がまだ戻っていない」と話すように本来の感覚は戻っていないのだろう。これに実績十分なFWティーラシン・デーンダーやFWジュニオール・ドゥトラ、そして全盛期は過ぎたものの勝負強いFW鄭大世も控えている攻撃陣の躍動する姿が見られるのは、これからとなりそうだ。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。