「周りが僕を信頼してくれている」 鎌田大地が覚醒、ドイツで研ぎ澄まされる“得点感覚”

自分自身の結果と共に、チームメイトからの信頼にも手ごたえを感じている【写真:Getty Images】
自分自身の結果と共に、チームメイトからの信頼にも手ごたえを感じている【写真:Getty Images】

「周りからの信頼も、点を取ったことでより増えた」

 そのためには、味方選手の特徴も分かっていなければならない。「あいつならばここへ、こうしたボールを送ってくれるはずだ」という事前情報があるから、それに対応したプレーができるというわけだ。

「アンドレ・シウバがかなり良くて、1人でボールを収められちゃう。コスティッチとの相性も良いし。僕もコスティッチとの相性は良いし。で、結構(前線の)3枚でチャンスを作って、やり切れるのが増えてきているなと思う。ウチとしては結構やることがハッキリしてて、みんなが同じことをやって。前もクオリティーがあるので、いいチームになってきているのかなと思います」

 特に鎌田とコスティッチの関係は、今年に入って非常に良くなってきている印象がある。どちらかというとコスティッチは左サイドから1人でガンガン行って、味方がそれに合わせるという感じが強かったが、ここ最近はコスティッチのほうが、鎌田やシウバの動きに合わせるプレーも増えてきている。

「コスティッチも結構、僕のことを信頼してくれているのを感じる。やっぱり周りからの信頼も、点を取ったことでより増えたし、僕自身もプレーしやすくなっているので。今は点も取れて自信もついているし、ここから上手く得点、アシストを重ねていけば、いいシーズンだったと言えるぐらいに終われるのかなと思います」

 後半戦の序盤は出場機会が訪れない時期もあったが、気がつくとまた主力の1人になっている。トップ下だけではなく、攻撃的な右サイドハーフ、試合の中ではチーム全体のバランスを見ながらボランチの位置まで下りてくることもある。そうした状況に応じたプレーを選択しながら、ゴールに絡む仕事ができているのだから、チーム内での評価も高くなる。

「優勝を狙っている」というDFBポカール。準決勝の対戦相手はまだ決まっていないが、ブレーメン戦の終了間際に危険なファウルでレッドカードをもらったコスティッチは4試合の出場停止処分を下されている。チームとしては大きな痛手であり、その分、鎌田にかかる期待は大きい。チームを決勝が行われるベルリンの舞台へ導くことができるだろうか。期待は膨らむばかりだ。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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