南野のリバプール移籍は決定的か 香川“恩師”クロップに質問、現地記者が確信する理由

リバプール戦のザルツブルクMF南野【写真:Getty Images】
リバプール戦のザルツブルクMF南野【写真:Getty Images】

クロップが破顔一笑「日本人選手の知性、テクニックは本当に際立っている」

 それならと、筆者もユーモアにはユーモアで対応した。「きっとあなたなら、私がここにいる理由について、思い当たることもあるんじゃないでしょうか?」と返答。すると、クロップから「たぶん、君とはこれからたびたび顔を合わせることになるんだろうな」という言葉が返ってきた。

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 衝撃だった。それはクロップ本人が、南野移籍を認めた瞬間だった。

 しかし、その後がさらに素晴らしかった。南野について聞けない筆者はこう続けた。

「南野獲得のニュースは、日本で本当に大きく報じられています。それはまずリバプールであるということ。そして、あなただ。あなたと香川真司の間に起こったことは、今も日本のサッカー界にとって最も素晴らしかったことの一つとなっています。そこで聞きたいのは、あなたにとって日本人選手と一緒に働くということは、どんなものだったのでしょうか?」

 するとクロップは破顔一笑して、「聞いたかい? 南野のことが話せないとなったら、シンジ・カガワについて聞いてきたぞ! 気に入った! しかも機転が利いている! シンジについてなら喜んで話そう」

 そして冒頭で紹介した「I loved working together with Shinji Kagawa」(香川真司と一緒にやるのが大好きだったよ)という言葉につながり、当時21歳だった香川との思い出を語り始めた。

 途中で「日本人選手と一緒にやったのはシンジだけだったっけ?」「シンジと一緒にやったのは2年間だったかな?」などと自問自答しながら、いかにもクロップらしく熱のこもった様子で、ドルトムント時代の話をした。

「私にとって本当に素晴らしい経験だったよ。シンジと一緒にやるまで、日本人選手に関しては全く無知だったんだ。彼がプレーするところをビデオで初めて見た時は興奮したよ。それから初めてシンジが練習に参加した後の話だ。控え室に戻ってきて、コーチ陣全員と抱き合って喜んだんだ。『スーパーな選手だ』『凄いことになるぞ』って言い合ってね。

 日本人選手の振る舞い、サッカーに対する姿勢、知性、テクニックは本当に際立っている。最近の選手は、そこにダイナミックさも加わっている。それにみんないい人間だ。(香川と一緒にやったことは)日本人のそういうことが分かった素晴らしい経験だった」

森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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