蘇ったプレシングと献身性

「全国では前が追いかけないと、どんどんロングボールも蹴られてしまいます。その中で、誰がチームのために貪欲に走れるのかと考えた時に、彼でした。相当に信じて、12月は練習試合で7試合くらいフル出場させました。かなり追い込んだ後に少し休ませたら、今日は最高のコンディションで臨んでくれたと思います」

　その言葉のとおり、加藤は前線から追いかける献身的なプレーで玉野光南の最終ラインに余裕を与えなかった。加藤自身も「自分は得点ではなく、走ることを評価されたと思っています。これからも献身的なところを見せたい」と話した。

　チーム崩壊の危機に陥った王者を蘇らせたのは、味方のために走るプレーだった。“お子ちゃま”なチームから変貌を遂げつつある前回王者は、2連覇へ向けて苦しみながらも初戦を突破した。

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轡田哲朗●文　text by Tetsuro Kutsuwada