3戦連発の南野拓実、絶好調をキープする理由 “号泣”したあの日が第一歩

涙を流して訴えた…「上手くなりたいんです」

 交渉の席に着いた南野は「もっと上手くなりたいんです……」と切り出した。そう話し始めると、次第に感情が溢れてきた。幼い頃から育ったクラブへの感謝の気持ち――。だが、今のこの自分を変えたい気持ちが上回った。勝ち気の19歳は涙が止まらず。号泣しながら大熊氏に訴えた。「上手くなりたいんです」。その強い気持ちに大熊氏も驚き、そっと背中を押した。

誰よりも自分に負けたくないのが南野。小学生の頃からそうだった。南野が通っていた“サッカー塾”のクーバーコーチングで指導していた丸野一博コーチは、「プレーを見ていて負けたくない、というのが伝わってくる」と当時を振り返った。

「1人1個のボールコントロールも、ある程度反復が必要。5、6年生になるとちょっと流し気味で練習をやる子もいるけど、拓実は『周りより絶対多くやる』と決めていて、周りが涼しい顔していても、いつも1人でいっぱいいっぱいの顔だった。貪欲にもっと上手くなりたい、周りよりできるようになりたいというのは見えていた」

 南野を突き動かすのは、純粋に「上手くなりたい」という気持ち。今もそれを忘れていない。ザルツブルクでは6季目を迎えた。コンスタントにゴールを重ね、今季はすでに公式戦6得点。初めてのCLでは2試合に先発して1ゴール2アシストしている。シュートを打って外しても、すぐ立ち上がってまた狙いに行く。試合後に何かが見えてくると信じて。だからこそ、満足しない。限界も決めない。森保ジャパンの主軸として活躍し、欧州でステップアップしても、南野が自身を認める日はまだまだ来ないだろう。

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