早くもうるさ型の英メディアを抑え込んだファン・ハール 香川真司が生き残るための2つの鍵とは

 その瞬間、約20人のフォトグラファーが一斉にフラッシュを焚いたおかげで、長身オランダ人監督の登場シーンは、まるで後光が射したかのように見えた。

 就任前の英国では、62歳という年齢を問題視する報道も目立ったが、3位決定戦まで戦ったブラジルW杯後、たった2日間の休養でマンチェスター入りしたファン・ハール新監督に、疲労の形跡は全くなかった。

 疲れが見えないどころか、むしろ精悍な感じで、非常に精力的に見えた。

 それもやはり、大会前はブラジル、アルゼンチン、スペイン、ドイツ4強の優勝争いと見られた今回のワールドカップで、南ア王者のスペインをグループ戦で5-1撃破して世界をあっと言わせると、オランダを4強の一角に食い込ませて、評価を高めた監督の自信の表れだったに違いない。

 この会見は、そのファン・ハールの自信がうるさ型の英メディアを押さえ込むものになった。

 最初に感想を述べてしまうと、ファン・ハールのお披露目会見は、何を聞かれても答えがぶれず、結局は自分の話したいことだけを話すという、典型的な大監督の質疑応答だった。

 まずはその象徴的な応答シーンから紹介したい。「マンチェスター・Uの監督として“成功”と呼べる結果とはどういうものか? 最低限でも欧州CL出場権確保という結果は出さなければならないと思うが?」という質問は、英高級紙『ガーディアン』のマンチェスター・U番、ジェレミー・ジャクソン記者からのものだった。

 ファン・ハールの一言目は「I don’t know(分からない)」というそっけないものだった。しかし、その後、すかさず持論を展開する。

「今日のワールド・サッカーを予言することは誰にもできやしない。そうだろう!? 一体誰がホームのブラジルが準決勝でドイツに1-7で惨敗すると予言できただろうか」

 つまり“来季のことは何も確約できない”と言って、新監督の自分に自ら重圧をかけるようなことは避けたのだ。

 

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