“夢”を追うフランクフルトが越えるべき壁 長谷部も求める「ワンランク上の競争」

フランクフルトのアンドレ・シルバ、長谷部誠、鎌田大地、バス・ドスト【写真:Getty Images】
フランクフルトのアンドレ・シルバ、長谷部誠、鎌田大地、バス・ドスト【写真:Getty Images】

今季も挑むブンデスリーガとELの戦い、生かさなければいけない「昨季の教訓」

 フランクフルトがUEFAヨーロッパリーグ(EL)プレーオフでストラスブールを下し、本戦出場を決めたことは選手に大きな興奮をもたらした。昨シーズンのようにELの頂上を目指して駆け上がっていきたい――。その思いはおそらく、ヨーロッパにある数多のクラブのなかで一番強いのではないだろうか。だから、登り始める前にその夢を諦めることになってしまっていたら、クラブやファンにとって大きな損失になったことだろう。

 大事な試合でノルマを達成すると、そこには安堵感も生まれる。緊張感の高まりが解かれ、ホッと一息をつく。そこからまた気持ちを入れ替えて、次の試合に臨むわけだが、試合が連続で続くと、このメンタルコントロールが難しくなる。デュッセルドルフをホームに迎えた1日のゲームでは、前半気持ちのギアがなかなか上がらない。この試合にフル出場した元日本代表MF長谷部誠は試合後、チームに充満していたそんな空気感を指摘していた。

「シーズン始まって1カ月ちょっとで、もう公式戦10試合くらいやってるんで、今日も前半なんかは身体の疲れもそうですけど、頭の疲れも感じた。(代表中断期の)2週間を使って、またしっかりとリフレッシュしなければならないと思います」

 頭によぎるのは昨季終盤の失速だ。リーグ戦でUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得、ELでは決勝に進出して優勝と二つの大きな目標を追い続けていた。どちらも狙えるチャンスがあるチームは数えるほどで、だからクラブは、選手は、ファンは本気で両方を獲ろうと懸命に戦った。最終的に力尽きてしまったものの、その姿は美しかった。ファンは選手を称え、だからこそ今季その経験を生かすことが求められている。

「今シーズンはもちろん、選手層もある程度は厚くしている。ただその部分で、今出ている選手と代わりに出た選手の差はちょっとまだ感じるし、そこをもっともっと上げていかないとチームとしての総合力は上がっていかないと思う。去年の教訓は今シーズンに生かしていかないと、と思います」

 ターンオーバーで主力選手を休ませながらシーズンを戦うべきだという声もある。実際に全試合をフルで戦い抜くことは厳しい。だが、頭ではそうだと分かっていても、どの試合も勝ち点や突破がかかってくるとなれば、指揮官はある程度の計算ができなければ、選手の入れ替えを決断しにくくなってしまう。長谷部も、その点を認めている。


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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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