G大阪復帰の宇佐美貴史、新リーダーへの覚悟 「長谷部さん、ヤットさんとは違う」

過渡期にあるクラブで変化した自身の立場 「チームのことを考えて動ける選手に」

 16年の壮行セレモニーで宣言した通りの“帰還”。G大阪に復帰してから、気付いたことがある。現在、成長著しい東京五輪世代のMF高江麗央、MF福田湧矢、MF高宇洋など、“世代交代”とも言われ、ベテランとの“融合”を図るチームでは若手の存在感が増している。今こそクラブにとっては過渡期。宇佐美も立場を自問自答してみた。

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「やっぱ(チームの雰囲気が)静か。めっちゃ静か。練習も黙々とやるし、いい意味でも悪い意味でも。俺がいた時で言うと、スタンスは違うけど丹羽ちゃん(丹羽大輝/現・FC東京)と敬輔くん(岩下敬輔/現・サガン鳥栖)。丹羽ちゃんはポジティブなことを言って、敬輔くんは嫌なことも言って、締めるところは締める。ヤットさん(遠藤保仁)と今ちゃん(今野泰幸)は背中で見せて、たるんだら健太さん(長谷川健太監督/現・FC東京)が雷を落とす。バランスが良かった。今は、ツネさん(宮本恒靖監督)が締めているけど、監督だけじゃなくて、選手のなかでそういう存在が必要」

 2013年夏、当時J2だったチームにドイツから復帰。J1に昇格した翌14年には三冠を達成した。“チーム”を作り上げる過程で得た経験。強い“チーム”に必要なエッセンスを宇佐美は確かに感じた。だからこそ、自身に何が求められているかも理解できた。

「チームのことを考えて発言できる選手はやっぱ必要かなと思う。でも自分が(嫌われ役を)買って出たところで、その手の役割も素人やから。自分のやり方でやっていくしかない。ちょうど(年齢的に)上と下の間にいる存在やし、上も見ながら下も見ながらやれたら。でも、敬輔くん、長谷部さん(長谷部誠/現・フランクフルト)、ヤットさんみたいに、というのは違う。所詮、真似事になっちゃうし、自分が見てきたところ、経験してきたところが、そういう選手たちとまた全然違う。俺が長谷部さんとかチームのために思って行動できる選手のやり方を真似したって、勝ち目はない。だから、自分しかできひんチームの中での立ち振る舞いがあるはず、という風に感じている」

 そして自身が目指すリーダー像へと、話は及んでいく。物心ついた頃からG大阪のゴール裏で応援してきた宇佐美だからこそ、クラブを牽引していくために思い描く姿がある。

「長谷部さん、(川島)永嗣さんとかは、チームを一つのものとして見ている。20人以上がどういう方向を向いてるか、背中を向いている選手がいたら正すし、ちょっと緩んでたら締めるし、締まりすぎててもあかんからちょっと緩める。その絶妙な配分でチームに対して関わっていく。ガンバではヤットさんという絶対的な経験値のある選手がいて、ヤットさんはそういうタイプじゃない。だからこそ、その下の選手が(引っ張る役割を)やれるチャンスがすごくある。ヤットさんはそういう選手が現われた時に正したり絶対しいひんから。そっと見守る優しい太い軸があるわけやから、チームのことを考えて動ける選手になりたい。年齢的にもそういうことを考えて振舞ってもいい年齢」

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