日本代表「トリニダード・トバゴ戦出場16人」を金田喜稔が採点 低調な一戦の最低評価は?
格下相手に消化不良の0-0ドロー 3-4-2-1に初挑戦のなか中島が「別格」の輝き
日本代表は5日に豊田スタジアムで行われた国際親善試合トリニダード・トバゴ戦を、0-0のスコアレスドローで終えた。森保一監督は、注目を集めた18歳のMF久保建英(FC東京)をベンチ外とし、現体制発足後では15試合目で初めて「3-4-2-1」を採用。指揮官がサンフレッチェ広島で磨き上げた“代名詞”と呼べるシステムだったが、機能したとは言い難く、攻撃面に多くの課題を残す一戦となった。
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消化不良なパフォーマンスとなったなか、1970年代から80年代にかけて輝きを放った「天才ドリブラー」で、日本代表としても活躍した金田喜稔氏はこの一戦をどのように見たのか。トリニダード・トバゴ戦に出場した全16選手を5段階で評価(5つ星が最高、1つ星が最低)。金田氏は「個人よりもチームとしての問題が見えた試合。1トップ2シャドーを生かすための形など攻撃の狙いが見えなかった」としたうえで、MF中島翔哉(アル・ドゥハイル)は「別格だった」と絶賛した。一方、2シャドーを務めたもう1人のMF堂安律(フローニンゲン)のプレーには物足りなさを感じ、最低評価としている。
◇ ◇ ◇
<FW>
■大迫勇也(ブレーメン)=★★★
3-4-2-1システムの肝は縦パスであり、1トップの大迫にボールが入った後に、いかに近い距離にいる2シャドーと連動しながら崩せるか。この試合ではチームとして、早いタイミングでくさびのパスを入れる意識が希薄で、3人目の動きを含めた前線3枚による崩しの形を作れなかった。大迫個人としては動き方の上手さやボールの収め方、浮き球で相手をかわしてシュートまで持っていくなど随所にアイデアは見せていたが、4-2-3-1の時のトップ下・南野との間にあるような絶妙な距離感は、この試合の2シャドーとは築くことができなかった。
<MF>
■中島翔哉(アル・ドゥハイル/→後半26分OUT)=★★★★
どんなシステムでやろうと、現在の日本代表においては別格の存在。味方との距離感があまり良くなく、あれだけ相手に引かれても個人で局面を打開して7本ものシュートを放ち、最も得点に近づいた。チームとして後方から押し上げていく形ができていて、中島がより高い位置でボールを受け、左ウイングバックの長友と近い距離を保てていれば、決定的なシーンはより多く作れたはず。そうしたチーム全体の組織としてのぎこちなさがあっても、「中島は中島」だった。今の日本代表で一番外せない選手であり、彼が攻撃のスイッチ役なんだと改めて感じさせるパフォーマンスだった。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。