“大誤審”の直後、浦和がすべきことはあったのか フェアプレー精神と別次元で行われるべき議論

“フェアプレー精神”が発露された時、美しい話にはなるが…

 実際に、曺監督が「フランスリーグで昇格を争っているチームがボールを出すフリをして出さずにゴールした後、抗議されて1点プレゼントしたことがあるのを思い出しました。それに、合っている、間違っているはないと思います」と話したような事例が海外にあるのは事実だ。確かに、そうした“フェアプレー精神”というものが発露された時には、美しい話にはなるのかもしれない。

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 しかし、Jリーグは同時に「toto」という公営ギャンブルの対象にもなっている。プレーが再開される前に審判団が判定を訂正しないで再開されたとして、審判団が認めていないゴールを、浦和が自分たちの判断でオウンゴールをするなどして湘南に与えた時、そうした影響のあった試合をどう扱うのかは、フェアプレー精神とは別に解決すべきことになるはずだ。

 この試合は金曜日開催だったので、勝敗は対象になっていないが、ゴール数は「totoゴール」の対象とされていた。結果的に試合結果が湘南の3-2での勝利だったことで、それが4-2になったとしても影響はなかった。しかし、これが3点以内の結果で落ち着いた時に、配当を受け取れる結果が変化することをどのように扱うかという問題について、フェアプレー精神とは別の次元で整理されたうえで、議論されなければならないだろう。

 浦和のGK西川周作は「何が正解か分からないです。レフェリーともコミュニケーションが取れていないですし、僕が行くべきだったのかもしれないし。僕も初めての経験で、何が起きているのか分からなかった」という思いを吐露した。

 少なくとも、この試合において誤審によって1点が取り消された湘南が3-2で勝利したからといって、救われた人間など存在しないだろう。今後、こうした重大な誤審が起こらないようにする取り組みが、Jリーグに必要なことはもちろんだ。しかし、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されていない現段階においては、今回のような事象が起きた時――明らかに重大なミスジャッジがありながらプレーが再開された後でも、なんらかの形で試合中に訂正できる手段がないかを模索することが、最初の選択肢になるのではないだろうか。

 ピッチ上で勝利を求めて戦う選手や監督が、今回のような誤審に直面した時、こうすべきだったという結論など簡単に出せるものではないはずだ。

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