レバンドフスキとロイス、“独2強エース”の明暗 「5-0」の大差が生んだ風格と失望

ロイスは悔しさを吐露【写真:Getty Images】
ロイスは悔しさを吐露【写真:Getty Images】

ロイスは悔しさを吐露 「またバイエルンとの差を感じる試合になってしまった」

 打ちひしがれた姿でピッチに立ち尽くしていた。視線の先に何を見ていたのだろう。「マルコ・ロイスのシーズン」と言われても不思議ではないほど、今季のロイスは輝いている。だがこの日のアリアンツ・アレーナで、たった一度しか好機を演出することができなかった。前半7分、素早い攻撃で左サイドを抜け出しゴール前のマフムード・ダフードにパスを送ったあのシーン。その後ドルトムントは、一つも決定的なシーンを作り出すことができなかった。さまざまな「なんで?」を、心の中で呟いていたのだろうか。

 ミックスゾーンでは時折、じっと言葉を選びながら自分の心中を明かしていた。

「試合をもう一度じっくりと見直して、分析をしてみないと多くは語れない。でもチーム全体が悪かったのは確かだ。またバイエルンとの差を感じる試合になってしまった。残念だけどね」

 ロイスは寂しそうに笑った。ルシアン・ファブレ監督は、この日怪我のパコ・アルカサルの位置にロイスを起用した。スピードに難のあるバイエルン守備陣の背後のスペース攻略を戦術の軸に選び、そのための選手を起用した。

 だが良い形でボールを奪うことができず、自分たちで好機を作り出すことができなければ、どんな選手を前に並べても上手くはいかない。

「僕らは積極的にプレスを仕掛けていこうとしていたんだ。向こうが4-3-3で来ると思っていたから、4-2-3-1でプレーした。でも問題は、あまりに選手間の距離がバラバラだったことだ。僕がマッツ(・フンメルス)にプレスをかけようと思っても、中盤でチアゴ(・アルカンタラ)が簡単にフリーになっていたり。難しいよ、そうなると。最初からコンパクトにプレーできなかった。今週中ずっと、自信を持って勇気を持ってプレーしようという話をしてきたんだけど……」

 確かにファブレの狙い通りにいった試合ではなかった。だとしても、まるで抵抗することができないまま敗れてしまった自分たち――。悔しさとやるせなさが、ロイスの胸中を襲う。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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