FIFA汚職事件の背景とは? 日韓W杯関係者が明かす巨大組織の実態

牧歌的な互助会のような組織として設立

 今年5月にアメリカ合衆国の司法省が、FIFA(国際サッカー連盟)のジェフリー・ウェブ副会長ら14人を、贈収賄や資金浄化(マネーロンダリング)の容疑で起訴したことで大きく動き出した巨大汚職事件。10月8日にはFIFA倫理委員会が、ゼップ・ブラッター会長とミシェル・プラティニ副会長、ジェローム・バルク事務局長を暫定的に90日間の資格停止処分にすると発表した。

 さらに19日には、2011年にプラティニ副会長が、ブラッター会長から契約書なしに200万スイスフラン(約2億5000万円)もの報酬を受け取っていたことが判明。いまだ終息の兆しを見せない汚職疑惑だが、その根底にはどのような背景があるのか。2002年ワールドカップ招致委員会でFIFAとの交渉も務めた、スポーツビジネスの第一人者である広瀬一郎氏に訊いた。

 
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――そもそもFIFAとは、どのような組織なのでしょうか?

「FIFAがフランスのパリに設立されたのは、1904年。サッカーの普及と向上のために作られた『サッカー同好の士の互助会』のような国際団体で、活動の柱は世界選手権、のちのワールドカップを開催すること。以来、約90年間、FIFAは牧歌的でよくわからない任意団体として存在してきました。それが大きく変わったのは、94年のアメリカ・ワールドカップ以降のことです」

――何があったのでしょうか?

「アメリカの徴税局であるIRSが、ワールドカップ開催によって得た収益に対し、FIFAに事業税の支払いを命じたことが発端です。これはワールドカップ史上初のこと。FIFAはそれまで課税されたことがなかったため、前代未聞だと驚きました。

 一方、常識的な課税をしたつもりのIRSも戸惑い、FIFAの本部があるスイスの国税当局に実態を問い合わせたわけです。すると、巨額の収入をもたらすビジネスに成長したワールドカップを運営するFIFAは、公益法人としての登記がなされておらず、免税措置の対象になっていなかったことが発覚。そのため公益法人ならば認められた免税措置も受けられず、FIFAは100パーセントの事業税をIRSに収めることになったのです」

 

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