日本代表、攻撃のオプションが課題 アジア杯へ、指揮官の欧州視察と戦力の見極めが鍵に

日本代表の森保監督【写真:Getty Images】
日本代表の森保監督【写真:Getty Images】

森保体制で4勝1分、15得点4失点 不安材料は選手層、とりわけ攻撃陣のオプション

 森保一監督が率いる日本代表は5試合のホーム親善試合を終えた。4勝1分、15得点4失点という成績だが、来年1月にUAEで行われるアジアカップに向けて重要なのは、ここまでいかに準備できたかだ。

 就任当初3バックでも4バックでもこなせるチームを目指すことを示唆していた森保監督だが、固定的なシステムとしての3バックは封印している。ただし、状況に応じてボランチの一人が最終ラインに落ちる、片方のサイドバックが上がった時に反対側のサイドバックが絞って一時的な3バックを形成するといった4バックの応用的な流れでの可変性はできてきており、森保監督も一定の手応えを得ているようだ。

 5試合の中で最強と想定されたのは10月に対戦したウルグアイだったが、総合的なインテンシティーは高かったものの、相手のストロングポイントを消しながら隙を突いてくるウルグアイならではのいやらしさは発揮されず、オープンな展開の中で4-3と勝利。より実戦的な意味でもっとも歯ごたえがあったのは11月のベネズエラだった。

 序盤はベネズエラが高い位置からプレッシャーをかけてくるものの、前線のFW大迫勇也(ブレーメン)にボールが収まれば、2列目の中島翔哉(ポルティモネンセ)、南野拓実(ザルツブルク)、堂安律(フローニンゲン)が前を向いて仕掛けを見せた。しかし、日本の戦い方に慣れてきたベネズエラが中をタイトに締めてくるとなかなかゴール前に侵入できなくなった。そこから柴崎岳(ヘタフェ)の飛び出しなど攻撃のバリエーションを出して崩したシーンもあったが、そのまま攻撃陣の良さを出させてくれない相手に対する課題がクリアになった試合だ。

 そうしたベースの課題に増して不安材料として浮上してきたのが選手層、とりわけ攻撃陣のオプションだ。森保監督はキルギス戦を前に「チームとしても2チーム分、それ以上の選手層を持って戦えるように(したい)」と語り、先発総入れ替えで臨んだ。前半2分に右サイドを起点とした攻撃から、最後は左サイドバックの山中亮輔(横浜F・マリノス)がタイミング良く攻め上がり自慢の左足でゴール。さらに同19分には、MF原口元気(ハノーファー)のFKが相手GKのミスで決まる追加点はあったものの、全体的に迫力を欠き、何度かのチャンスも決めきれない展開となった。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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