じゃない方からの卒業 初代表で武藤がつかんだ新たな成長への手応え

未来を分けたワンプレー

 仮に、武藤が決めていれば、勝ち点4の2位で大会を終えることができた。だが、実際のところは勝ち点2に終わり、東アジアで最下位という屈辱を味わうことになった。これは男女通じて同大会の日本代表で初の事態だ。勝負を分けるゴールを決めるかどうか、一勝、1点、ワンプレーの重みを知る事となった。
 とはいえ、国内組のみのメンバー構成で臨んだこの東アジア杯において、最大のアピールに成功したのが武藤なのは間違いないだろう。初戦の北朝鮮戦と、この日の中国戦の2試合でスタメン出場のチャンスを与えられると、どちらの試合でもゴールを決めた。「ゴールを決められたのは本当に良かったですし、監督にも言われていたので良かった」と、世代別を含めて初めて経験する日の丸を胸にした戦いに手応えを得た。
 FC東京からマインツに移籍した武藤嘉紀の移籍報道が過熱した時期に、ゴールを決めて、自ら「“じゃない方の武藤”が決めたと書いておいてください」とコメントして話題になった男は、初代表で確かな足跡を残した。今後、海外組を含めた激しいポジション争いが待っている。だが、堂々とそこに名乗りを上げたと言っていいだろう。
 それでも、「試合に勝たないと意味がないので、もう1点決めたかったという残念な気持ちの方が強い」と、満足はしていない。手応えと悔しさの両方を胸に、武藤にとって初めての日本代表としての戦いが幕を閉じた。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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