代表デビューから2戦連発の武藤が東アジア杯得点王 人生を変えた1年

ロシアW杯に向けた東アジア杯最大の発見

 世代別代表の経験はなく、流通経済大学時代に関東大学選抜Aに入ったのが最高地点だった。2011年加入の仙台ではリーグ70試合出場で4ゴール。昨オフには浦和からのオファーに悩んだ武藤だが、大学時代の先輩でもある浦和のMF宇賀神友弥からの「浦和でチャンスをつかんだら人生が変わるぞ」という言葉にも背中を押され、浦和入りを決断。すると、ここまでリーグ21試合に出場して9ゴールはチーム内で得点王。浦和のファーストステージ無敗優勝の原動力にもなった。そして、日本代表にデビューした東アジアカップで2試合連続ゴールの得点王。まさに、15年は人生が変わった1年になっている。
「去年のことを考えれば、一気に階段は上がっているなと思う。これからも上がり続けたいですし、落ちないように謙虚に、しっかり見つめながらやりたいと思っている」
 武藤は、自身を取り巻く状況の変化について、足下を見つめつつそう語る。後半25分に迎えたドリブルでのカットインから相手GKと1対1になった勝ち越しゴールへの絶好機を決められなかったのは、試合展開上は痛恨になった。それもまた、次への課題と認識していることだろう。
 今後、海外組が合流すれば香川真司(ドルトムント)や本田圭佑(ACミラン)とのポジション争いも発生するが、攻撃の最終局面でサイドからのボールをワンタッチでゴールを決める個性と、国内でプレーすることによるコンディション調整の容易さは、大きなアピールポイントになる。18年のロシアワールドカップに向けたアジア二次予選では、初戦のシンガポール戦にホームで引き分けと、苦しいスタートを切ったハリルジャパン。国内組で構成したメンバーで東アジアのライバルたちと対峙した今大会も3戦未勝利と、厳しい現実を突き付けられた。日本代表の同杯史上初となる最下位という屈辱を味わった。それでも、ロシアへ向けてアジアを勝ち抜くための切り札として、ハリルホジッチ監督にとって、武藤は東アジアカップ最大の発見となった。

 

【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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