日本代表は4年経って“振り出し”に戻った W杯メンバー23人に見る迷走ぶりとは?

"ザックジャパン"が臨んだブラジルW杯では1分2敗でグループリーグ敗退となった【写真:Getty Images】
"ザックジャパン"が臨んだブラジルW杯では1分2敗でグループリーグ敗退となった【写真:Getty Images】

井手口&三竿を外した西野監督、メンバーリストに見える“ザック流”の影

 しかし、この戦い方にはMFにボール奪取力の高い選手が絶対に必要だ。23人のなかで守備型のMFとしては山口蛍がいる。大島僚太、長谷部誠、柴崎岳も守備はできる。ただし、ボール奪取のスペシャリストではない。ボール奪取力のある井手口と三竿を外してしまって大丈夫なのだろうか。

 というより、西野監督はそういう戦い方を想定していないから、二人を外したと考えるべきなのだろう。

「ポゼッション+ハイプレス」のスタイルは、アルベルト・ザッケローニ監督時代の戦い方だった。そして14年ブラジルW杯では1分2敗でグループリーグ敗退、課題は「ラスト30メートル」と「被カウンターアタック」だった。ただ、ボールを運ぶことはできていた。

 大会後、日本サッカー協会はハビエル・アギーレ監督、ハリルホジッチ監督の下で不足していた「デュエル」「縦に速い攻撃」を足そうとした。さらに時間が経過すると、日本の欠点を軸にする戦い方に変化した。ブラジル大会の課題として突きつけられた「ラスト30メートル」と「被カウンター」に向き合うことをせず、違う戦い方にシフトしたわけだ。

 そして、ハリルホジッチを解任して新監督を据えた今、4年間放置し続けていた課題に直面しようとしている。振り出しに戻って残り3週間足らず、もう今はそれに取り組むべき時ではない。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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